ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“The Legacy”雑感(4)

 この土日で片づけようと思っていたが何かと雑用に追われ、今日の午後になってやっと取りかかった。それでも何とか終盤に差しかかり、もう粗筋を書けないところまで読み進んでしまった。
 そこで今日は本書のジャンルについて。あまり意味のない「考察」であることに目をつぶって今までの内容をふりかえると、当初はイギリスの古い屋敷にまつわるゴシック・ロマンかと思ったが、ゴシックとは言えない。怪奇現象は起こらないし、幽霊も登場しないから。
 ロマンやロマンスというのも、ちと的はずれか。もちろん恋愛はからんでいるのだが、メロドラマ、ラブロマンスと言えるほど決定的な要素ではない(と思う、今のところ)。ただし、恋愛をふくめて男女のあいだに渦巻く情念から産みだされたドラマであることはたしかだし、冒険小説的な部分もあるので、そういう意味ではロマンスの一種に入るだろう。
 これに加え、ほぼ100年の時を隔てて曾祖母と子孫の物語が続く点を考えると、ヒストリカル・ロマンス、ファミリー・サーガと呼ぶのが正解か。一家にまつわる2つの謎がからんでいるので、推理小説とまでは言えないが広義のミステリにふくめてもいい。
 くだらない「考察」はともあれ、これは本当に面白い小説です。