きょうはまず全米図書賞の話題から。受賞作の "The Underground Railroad" はガーディアン紙で本命扱いされていたし、The Mookse and the Gripes のディスカッションでも一番人気。というわけで実際、フタをあけると大方の予想どおりだった。
が、ぼくはレビューや一連の駄文で述べたように、あまり高く評価していない。その理由はここでは省こう。それより、受賞結果を知って思ったことがある。
National Book Award というのは、日本では「全米図書賞」と紹介されるものの、アメリカの立場に即すと、national にポイントがあるのではないか。単に作品の出来ばえだけでなく、nationality にかかわる問題をテーマにしている点も選考基準なのではあるまいか。
もしかしたら、そのように明文化されているのかもしれないが、ぼくはこの賞にそれほど興味がないので不勉強。とにかく、作品の良し悪しだけなら、ほかにもたくさん秀作がありそうなものなのに、どうしてこんな本を受賞作、あるいは候補作に選ぶのだろうと、前から疑問に思うことが多かった。
今回もそんな疑念に駆られたが、nationality も基準のひとつ、と考えれば納得。この点では、おそらく文句なしの選定ではなかったかと推察する。ただ、正直言って、出来そのものは「いちおう合格ラインをクリア」といったところ。邦訳はまず出ないでしょう。日本では売れそうにないからだ。
前置きがずいぶん長くなった。ここからが本題。2015年のコスタ賞処女小説賞受賞作、Andrew Michael Hurley の "The Loney" を読了。さっそくレビューを書いておこう。