ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“The Invisible Bridge”雑感(3)

 この土日で一気に本書を片づけようと思ったのだが、あいにく土曜は出勤日で、夜はストレス発散のため痛飲。おかげで昨日は頭が働かず、まだ読みおわっていない。が、それでも本書を読みはじめてから一日平均100ページずつ消化しているので、最近のぼくにしては珍しくハイピッチ。明日あたり余裕で読了できそうだ。
 さて、前回は「歴史メロドラマ」と定義づけた本書だが、その後、いや、それ以前から二転三転。中盤以降にいたっては四転五転と息をつくまもないほどで、ようやく終幕が近づいてきた今、これからまだ、さらにどんでん返しがあるかもしれないが、その前にちょっと休憩しながらふり返ると、本書はやはり単純に歴史小説、大河小説と呼ぶのが正しいいようだ。
 メロドラマ編の主な舞台は第二次大戦前夜のパリで、ブダペストから留学してきたユダヤ人の青年が年上のやはりユダヤ人女性と恋に落ちる。これが典型的なメロドラマで、何しろ二人の恋の前には次から次に障害が発生する。家族の反対、強力な恋敵の出現、女の衝撃的な過去の告白、そして垂れこめる戦争の暗雲。障害が多ければ多いほどメロドラマは面白いという見本のような展開で、中盤過ぎまでこの文芸エンタメ路線のノリでクイクイ読める。
 ところが、学生ビザが切れて青年がハンガリーへ帰国したあたりから、物語は第二次大戦中に起きた痛ましい悲劇へと一変する。例によって無知なぼくは知らなかったのだが、ハンガリーは枢軸国側から参戦したため、戦況の変化によってユダヤ人の処遇も劇的に変化する。青年は劣悪な環境に置かれ、人間の醜悪な利己心や非情さなどをつぶさに体験し、やがて生と死の境をさまようになる。
 …とまあ、これくらい整理しておけば、明日には何とかレビューが書けるでしょう。