ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“Americanah” 雑感

 Chimamanda Ngozi Adichie の "Americanah" をボチボチ読んでいる。Adichie が新作を出したことは前から知っていた。ニューヨーク・タイムズ紙の書評家 Janet Maslin のレビューを目にしたことがあるからだ。Michiko Kakutani の場合と同じく、内容までは読まないが、2人がどんな作品を採りあげているかは、ときどきチェックしている。
 ただ、ごく最近まで読む気がしなかった。1冊だけ読んだことのある Adichie の旧作 "Half of a Yellow Sun" [☆☆☆☆★] の印象が強烈で、あれよりすぐれた作品はそうそう書けないだろう、と思ったのが理由のひとつである。あとひとつは、タイトルから何となく racism を連想し、この古びたテーマでは傑作はもう生まれないのでは、と思ったからだ。
 ところが、例の Man Booker Prize Eligible 2013 で人気が急上昇。一時は第3位になり、それがしばらく続いたので急遽、入手することにした。いま見ると5位に落ちているが、たしか The Mookse and the Gripes Forum のほうでも好意的なコメントが寄せられていたはずだ。
 このところ、序盤を読んだだけで、これはブッカー賞ロングリストへのノミネート間違いなし! とアドバルーンを上げ、読み終わってみると、いやそうでもないな、と水を差すパターンが多い。その最たる例は Mohsin Hamid の "How To Get Filthy Rich in Rising Asia" で、同書は当初、ショートリストさえうかがえるのでは、と大風呂敷を広げたものだ。(ロングリストは行けると思います)。
 それゆえ今回、ほんとうは自重すべきなのだが、またまた大恥覚悟で暫定評価を発表しよう。これは今年の大本命かもしれませんよ! いままで読んだ「有資格作品」とくらべ、明らかにモノがちがう……ような気がする。
 テーマはたぶん、上の直感とちがって、ううむ、何だろう。とりあえず、やっぱり Americanah かな。Americanah とは non-American black のことだが、この言葉が出てくる場面では「アメリカ帰りの」と注をつけたほうがいい。だから non-American black back from US だろうか。実際、本書のヒロイン Ifemelu は長いアメリカ生活をおえ、故国ナイジェリアに帰ろうとしている。
 ……例によって中途半端ですが、きょうはここまで。