まずきのうの補足から。ぼくが大嫌いなタイプの小説の例として挙げた "The Piano Teacher" は、ノーベル賞作家 Elfriede Jelinek の作品(☆☆☆★★)ではなく、Janice .... という Chi .... 系作家のもの(☆☆★★★)。
なぜ伏せ字にしたかというと、こんなマイナーなブログでも、某国の検索エンジンからどんな圧力がかかるか知れたものではないからだ。杞憂というなかれ。ぼくは過去に少々被害を受けたことがある。
さて、先週から読んでいるのは、Kurt Palka の "The Piano Maker"(2015)。いまネットで調べると、Palka はオーストリア出身とのこと。が、ぼくは去年の今ごろ、アマゾン・カナダで本書が人気作として紹介されているのを見かけ、前回まで感想を書いていた Melanie Dobson の "Chateau of Secrets" ともどもジャケ買いした。
これもおもしろい! じつはもう最後の山場。バスや電車の中だけでなく、二宮金次郎さんよろしく歩行中も読んでいたおかげで、最近のぼくにしては珍しく、わりとハイピッチで進んでいる。
舞台はカナダ、ノヴァ・スコシア州の小さな町。物静かな中年女性 Helene が教会のオルガニスト、しかしオルガンが故障中なのでピアニストとして招かれ、町に着いたところから物語は始まる。
"Chateau of Secrets" とちがって、冒頭から次つぎに事件が起こるジェットコースターのような展開ではない。むしろスロー。がしかし、Helene は何やら大きな事件に遭遇し、心に深い傷を負っている風情。
その謎といじらしい姿に惹かれて読み進んでいると、次第にアップテンポ。いまや冒険小説とリーガル・サスペンスのノリだ。さて結末は? たぶんハッピー・エンディングだろうと思うんだけど。
(写真は、宇和島市神田川原(じんでんがわら)と妙典寺前の境目くらい。元貧乏長屋からここまで大人の足でものの5分。しかし当時は〈ミニ遠征〉だった。いまでは民家も郵便ポストもなく更地になっている)