やっと体調がもどり、きょうはジムで2+8キロ走。さすがにバテた。
おかげで帰りのバスではコックリさんだったが、行きに読んでいたのは Paul Murray の "The Bee Sting"(2023)。例によってカタツムリくんのペースながら、内容そのものは依然快調だ。
Paul Murray といえば、もう10年以上も前にリアルタイムで読んだブッカー賞一次候補作 "Skippy Dies"(2010)がとてもおもしろかった(☆☆☆☆)。未確認だが、彼が脚光を浴びるのは同書以来はじめてかもしれない。
こんどの新作もやはり青春小説で、コミカルなエピソードが多い点も同じ。ちがうのは、ホームドラマの色彩も濃いところだろうか。持ち運びに苦労するほどのデカ本なので、ブッカー賞の発表までに間に合いそうもないが、暫定評価は☆☆☆★★。好みだけでいうなら、★をひとつオマケしてもいい。
ついでに、既読の最終候補作の私的ランキングを現地ファンふうに公表すると、
1. Prophet Song(☆☆☆★★)
1. Study for Obedience(☆☆☆★★)
3. This Other Eden(☆☆☆★★)
4. The Bee Sting(☆☆☆★★か☆☆☆★★★)
同点1位としたわけは、どっちが上でもいいというか、どの点を高く評価するかで順位が逆転しそうだから。"Prophet Song" は詩的情緒にあふれ物語性も豊かだが、そのわりにテーマそのもの(家族愛とディストピア)は重いが平凡。
表題作のほうは、重いテーマ(自由と全体への帰属)を扱っているが深掘り不足。習作というか荒削りというか、物語としてもうまく仕上がっていない。ただ、重い。あ、これがレビューの落ち穂ひろいです(笑)。
"This Other Eden" もテーマは重いが平凡(差別や偏見)。叙述形式はよく工夫されているが、仕上がりはイマイチ。
"The Bee Sting" はまだ序盤なのでなんともいえないが、四作のなかではいちばんゲージュツ性が薄い(ただし後半、"Skippy Dies" のように化ける可能性あり)。だからブッカー賞にも縁は薄そうだが、コメディ好きのぼくとしては暫定イチオシですな。
とここまで書いてひと風呂浴び、駄文をチェックしたところで晩酌タイム。これではカタツムリくんになるわけだ。(この項つづく)
(下は、この記事を書きながら聴いていたCD。昔のロックは大好きだ)