ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

David Diop の “At Night All Blood Is Black”(1)

David Diop の "At Night All Blood Is Black" を読了。周知のとおり今年の国際ブッカー賞最終候補作で、仏語の原作 "Frère d'âme"(2018)は刊行年に Prix Goncourt des Lycéens(高校生のゴンクール賞)を受賞。英訳版(2020)も先日、ロサンゼルス・タイ…

Yaa Gyasi の “Transcendent Kingdom”(1)

ゆうべ、Yaa Gyasi の "Transcendent Kingdom"(2020)を読了。周知のとおり今年の女性小説賞最終候補作で、現地ファンの下馬評では2番人気だが、集計方法によっては1番人気にもなっている。また、気の早い同ファンのあいだでは、今年のブッカー賞ロングリ…

James McBride の “Deacon King Kong”(2)と今年のピューリツァー賞予想

去る17日、ぼくと同じように、え?と驚いたひとがいるかもしれない。当日届くはずだった David Diop のペイパーバック版 "At Night All Blood Is Black" が、なぜか1ヵ月先に到着延期との知らせ。あわててキャンセルし、出品しているイギリスの店に発注しな…

Lydia Millet の “A Children's Bible”(1)

Lydia Millet の "A Children's Bible"(2020)を読了。周知のとおり昨年の全米図書賞最終候補作で、ニューヨーク・タイムズ紙選年間ベスト5小説のひとつでもある。また P Prize. com の予想では、今年のピューリツァー賞「候補作」第3位にランクイン。さ…

Marilynne Robinson の “Lila”(2)

これは2014年の全米批評家協会賞受賞作で、全米図書賞最終候補作およびブッカー賞一次候補作。そのころたいへん話題になっていたことは、あとで知った。ぼくは同年春から翌年の秋まで本ブログを休止。いまもそうだが、文学を通じて人間の本質がどうのこうの…

Patricia Lockwood の “No One Is Talking About This”(1)

今年の女性小説賞最終候補作、Patricia Lockwood の "No One Is Talking About This"(2021)を読了。もっか、現地イギリスのファンのあいだでは1番人気である。さっそくレビューを書いておこう。 (追記:本書は後日、今年のブッカー賞ロングリスに入選)…

Maggie O'Farrell の “Hamnet”(2)

今回も禁をやぶってハードカバー。Patricia Lockwood の "No One Is Talking About This"(2021)をボチボチ読んでいる。ご存じ今年の女性小説賞最終候補作で、本ブログのリンク先 the Mookse and the Gripes によると、もっか1番人気。英米アマゾンでの評…

Benjamín Labatut の “When We Cease to Understand the World”(1)

きのう、今年の国際ブッカー賞最終候補作、Benjamín Labatut の "When We Cease to Understand the World"(2020)を読了。原題は "Un Verdor Terrible"(2019)で、スペイン語からの英訳である。さっそくレビューを書いておこう。 When We Cease to Underst…

Brit Bennet の “The Vanishing Half”(2)

今年の国際ブッカー賞最終候補作、Benjamín Labatut の "When We Cease to Understand the Word"(2020)を読んでいる。原題は "Un Verdor Terrible"(2019)。スペイン語からの英訳である。なかなか面白い。現地ファンの下馬評では1番人気のようだ。 カバ…

James McBride の “Deacon King Kong”(1)

きのう、James McBride の "Deacon King Kong"(2020)を読了。周知のとおり、ニューヨーク・タイムズ紙が選んだ昨年の年間ベスト5小説のひとつである。また P Prize. com の予想によると、ニューヨーク時間で明日4日に発表される今年のピューリツァー賞「…