旅行中はまめにこの日記をつけていたのに、日常生活に戻るとたまっていた仕事が襲いかかり、と言うほどでもないが、昨日も出勤。"In Other Rooms, Other Wonders" のレビューに書いたとおり、まさに「禍福はあざなえる縄のごとし」である。
閑話休題。今日になってまたボチボチ本書に取りかかったが、「文学的な深みはさほどでもないがストーリー性は抜群、クイクイ読めるタイプの小説のような気がする」という印象は変わらない。ただ前回は、インディアンによる襲撃が西部劇と違って凄惨をきわめたのに対し、今度は逆に、白人側のインディアン迫害の歴史からスタート。おおよそ想像のつく内容ではあるが、これまたのどかな西部劇の世界とはほど遠いムチャクチャな話の連続で、こちらのほうが史実に近いんだろうな。
ぼくは世界映画ベスト3に「荒野の決闘」を選ぶほど西部劇が大好きなので、「リアルな西部劇」に接したからといって「のどかな西部劇」をおとしめるつもりは毛頭ないが、一方、現実は現実として認識しておかねばなるまいし、こと小説となると、大昔の映画の世界をそのまま活字にしたのでは芸がない、と言うより意味がない。最近読んだ本で言えば、これは Karen Fisher の "A Sudden Country" と同様、「リアルなウェスタン小説」であり、こちらのほうがさらに現実に即していると思う。
今のところ、話の流れは4つある。まず、インディアンに襲われ、そのうちカイオワ族に連れ去られた黒人女性 Mary と、次に、コマンチ族の中で暮らしはじめた白人女性 Elizabeth の後日談。いずれも虐待に耐え、また大自然の中で苦難に耐えながらたくましく生きている。Mary の幼い息子が一人前の狩人になりつつあるなど、部族の中に次第に溶けこんでいるが、Mary はもちろん愛する夫を忘れられない。一方、家族を救出しようと単身、インディアンの縄張りに乗りこむのが夫の Britt で、今日は彼がコマンチ族の若者と出会ったところまで読んだ。
これに加え、第4の流れとして、フィラデルフィアに住む Samuel の話がある。彼はクェーカー教徒なのに南北戦争に従軍、同輩たちから白い目で見られているが、その経験を買われてコマンチ族、カイオワ族との交渉役に抜擢される。インディアンを物的に支援しながら布教に当たるのが主な仕事のようだ。
…こうして今までの内容をざっとまとめてみると、なんだか今後の展開と結末まで見えてしまったような気もするが、それにしても「クイクイ読めるタイプの小説」には違いない。明日もがんばろう!