ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“Sacred Hunger” 雑感 (2)

 きょうはけっこう頑張ったが、やっぱり読了できなかった。あしたからまた仕事なので、いましばらくかかりそうだ。
 さて、おととい書いた事情で、これは粗筋をぼんやり憶えていた作品だが、いざ取りかかってみると、とんでもない勘違いをしていたことがわかった。のっけから波瀾万丈、手に汗握る大冒険がはじまるものと思っていたら、実際はなんのケレン味もないというか、きわめてオーソドックスな展開で、文体も緻密にして重厚。内容的にも分量的にも、まさに骨太の歴史小説である。
 まず簡単なプロローグがあり、そのあと2部構成で、第1部は1752年から53年までの出来事。これがやたら長く、全体の3分の2近くを占めている。が、そのわりに大事件は起こらない。すくなくとも、「手に汗握る大冒険」は皆無。なんだか長大なイントロを読まされているような印象だ。退屈ではないがオモローともいえず、☆☆☆★★くらいだろうか。
 題材は奴隷貿易だ。まずアフリカのギニア海岸で黒人奴隷を買い、つぎにジャマイカにおもむいて奴隷を売る。そのうち第1部は、リヴァプールで奴隷船を建造している場面からはじまり、ギニア海岸を出航、ジャマイカへと向かう洋上シーンでおわる。
 話が長くなるのは主人公が2人いるからだ。まず奴隷船のパートを受け持つのは、船医の Matthew Paris。正義漢だが投獄経験があり、亡き妻の思い出に胸を痛めている。この船医があくどい船長と対決したりするのは、まあ定石ですな。嵐、奴隷売買の実態、船内の劣悪な環境、奴隷への非情な仕打ち、船員同士の争い……これもそう。
 一方、リヴァプールでは、Paris のいとこで、奴隷船の船主の息子でもある Erasmus Kemp が恋に落ちる。相手の娘は、父親の誕生日にシェイクスピア劇『テンペスト』を披露しようと芝居の稽古中。そこに演技の下手な Erasmus も割りこんで……というお話だ。
 こういう展開の場合、2人の主人公がどこかでぶつかるはずで、事実、Erasmus は当初から Paris に反感をいだいている。ところが、第2部の1765年に話が飛んでも、なかなか対決がはじまらない。
 ……例によって不得要領の紹介で、われながらイヤになる。おまけに、「こんな駄文を書いている時間がもったいない。例によって中途半端ですが、きょうはこのへんで」。