ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

"What Belongs to You" 雑感 (1)

 Garth Greenwell の "What Belongs to You" を読んでいる。日本での発売は今年の1月19日。ようやく、ほぼリアルタイムで現代文学に取り組むことになった。
 本書を読もうと思ったきっかけは、あちらの文学ファンのあいだで、これが今年のブッカー賞の有資格候補作に挙げられているからだ。まだロングリストさえ公表されていないのに、早くもそんな話が取りざたされるのは、ぼくの知るかぎり同賞しかない。
 ところが、表紙の著者紹介によれば、Garth Greenwell はなんと Louisville, Kentucky 生まれでハーバード大卒とのこと。あれま、アメリカ人じゃないか!
 1年半ほど本ブログを休止しているあいだに、ブッカー賞の候補作にアメリカ人作家のものが選ばれるようになったことは知っている。ご存じ Hanya Yanagihara や Anne Tyler などの作品(未読)だが、その昔楽しんだ "The Accidental Tourist" や "Ladder of Years" などでおなじみの Tyler の名前を目にしたときは、え、ウソだろ、と思ったものだ。
 あちらのファンからも不満の声が上がっているようだ。ぼくも同感。おそらく、1年以内にイギリス国内で発売されたハードカバーの新作、という選考基準に変わったのだろうが、やっぱり旧大英帝国の作家に限定してもらいたいな。ぼくは3年前まで、英文学の伝統がどう継承され、どう変化しつつあるのかを確かめたくてブッカー賞レースを追いかけていたのだ。
 これもやはりグローバル化の流れなのでしょうか。とあきらめて読んでいる。「おもしろい?」 ううむ、どうでしょう。
 ぼくは前回まで、小説のおもしろさについて駄文を綴ってきたばかりなので、どういう意味でおもしろい、おもしろくないのかを考えざるをえない。きょうはとりあえず、これはゲイ小説です、とだけ言っておこう。
(写真は宇和島市大超寺。宇和島は三方を山にかこまれた街で、どの山すそにも寺がある)