ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Elizabth Strout の "My Name Is Lucy Barton" (2)

 北海道旅行4日目。然別湖のホテルでこれを書いている。
 本書はピューリッツァー賞作家の最新作。だから注目を集めて当然だし、刊行されたのが今年の2月ということで、すでにお読みの方も多いのではないかと思う。
 が、ぼくは、これがあちらのファンのあいだで今年のブッカー賞有資格候補作に挙げられているのを知り、ようやく注文した。その後発表された、米アマゾン上半期ベスト20にもランクイン。レビュー数の多さでは一番人気だったと記憶する。
 ひょっとしたらこれ、今年のブッカー賞レースでも最右翼かもしれませんな。読みはじめた当初からそう思った。過去のいくつかの受賞作と同じような味わいだったからだ。つまり、しみじみ調というやつです。
 ぼくが初めて Strout を読んだのはかなり前、ジャケ買いで入手した第2作の "Abide with Me" [☆☆☆★★]。やはり行間から愛情がにじみ出てくるような作風に魅せられたが、いかにもマイナー・ポエットらしく地味な作品だった。だから、彼女がご存じ "Olive Kitteridge" [☆☆☆☆] でピューリッツァー賞を受賞したときは、その成長ぶりにビックリしたものだ。
 旅の疲れで頭がいつにも増して働かない。あとは、ぼくのささやかなブッカー賞有資格候補作リストでお茶を濁しておこう。
 1."My Name Is Lucy Barton" ☆☆☆★★★
 2."Slade House" ☆☆☆★★★
 3."The High Mountains of Portugal" ☆☆☆★★★
 4."What Belongs to You" ☆☆☆★★
 5."Spill Simmer Falter Wither" ☆☆☆★★
 6."Fifteen Dogs" ☆☆☆★
 7."Mothering Sunday" ☆☆☆★