ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Sebastian Barry の “Days without End”(2)

 続きを書く時間がなかなかとれなかった。といっても、たいした補足ではない。
 本書は去る1月に2016年度コスタ賞大賞を受賞。そのニュースを知ってひとまず入手したものの、すぐには食指が動かなかった。処女小説部門賞に輝いた "Golden Hill"(未読)のほうが出来がいい、という現地ファンの声もあったようだ。
 それなのに、いまごろようやく手に取ったのは、本書が今年のブッカー賞ロングリストにノミネートされるかも、というもっぱらの評判だからである。もっとも、そんなコメントは去年から目にしていた。
 去年、同賞は大方の予想に反してアメリカ人作家が初受賞。そのせいか、今年は Colson Whitehead の "The Underground Railroad"(☆☆☆★★)も下馬評に上がっている。
 同書はご存じ全米図書賞、ピューリッツァー賞のダブル受賞作。偶然の一致だろうが、"Days without End" と同じくアメリカの〈負の歴史〉を扱っている。つまり、あちらは奴隷制、こちらは先住民迫害。
 両書をくらべると、★ひとつの差だが、明らかに "Days without End" のほうがすぐれている。Sebastian Barry は08年の "The Secret Scripture"(☆☆☆★★)以来、2度目のコスタ賞大賞受賞。再度の受賞は同賞では初の快挙だそうだ。
(写真は、宇和島市神田川原(じんでんがわら)の街並み。妙典寺前方面から)