本書における〈現代〉は1940年。舞台はハンガリー辺境の地にある森の中の城。そこに年老いた将軍 Henrik が住んでいる。その Henrik のもとに手紙が届く。士官学校時代の旧友 Konrad がなんと1899年以来、ほぼ40年ぶりに訪ねてくるという。
これが冒頭で、話はそのあと60年以上も昔、二人がまだ十代の少年だったころにさかのぼる。彼らはもちろん大の親友だった。それがどうして長年、音信不通となってしまったのか。41年前には、若くして死んだ将軍の美しい妻 Krisztina も生きていた。彼女が二人の長い別れの原因となったのだろうか。
というのが、きのうの紹介の具体的内容だ。いま読んでいるのは、将軍と Konrad が顔を合わせ、再会までの主な出来事をふりかえりながら、真の友情とは、と論じているところ。相当なスローペースである。おかげで、正直言って眠い。
が、本書を2014年のベストテンに選んだ故 Kevin 氏は、こんな一文に惹かれたのかもしれない。'One remembers the beginning more clearly, the closer one comes to the end.' (p.106)
これはあくまでも推測だが、もしかしたら Kevin 氏は本書を読んだころ、自分の死を予感していたのかもしれない。
ぼくはブログ再開後、愛媛県宇和島市の風景写真を毎回のようにアップしている。なんの変哲もない景色ばかりだが、生まれ故郷だけに、ぼくにはどれも少しずつ思い出が詰まっている。子供のころ目にした光景をなるべく再現したい、という頭がどこかにある。'One remembers the beginning more clearly, the closer one comes to the end.' というわけだ。
きょうの写真は、今春の帰省中、市の広報を読んで初めて知った市内最古の教会。