ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

"The End of Days" 雑感(1)

 きょうはまず就眠儀式の話から。寝床の中で読む本は、適度におもしろいものがいい。おもしろすぎると夢中になり眠れなくなる。つまらないと消灯。が、すぐには眠れない。
 その点、いま読んでいる『月光仮面』はちょうどいい。どれも子供だましのような話だが、素朴な味がなんとも懐かしい。ただ、ここは憶えてる、というシーンがまだ出てこない。初期のものは未読だったのかも。
 つぎはキッチン読書。風呂上りなど、ハンパな時間を利用して少しずつ読むには、記憶が途切れない程度におもしろくないと困る。また、適当なところで切り上げられることも条件のひとつ。
 そんな読み方には短編集が最適だ。三浦しをんの『木暮荘物語』、世評どおりすばらしい。こういう本に出会うと、ほんとにボケないうちに日本文学の catch up を始めておいてよかったな、と思う。
 それと平行して読んでいるのが『波の塔』。こちらは粗筋をだいたい憶えているので、べつに長編でもかまわない。さっと作品世界に入り、さっと抜け出せる。
 「だいたい憶えている」というのがミソかもしれない。すっかり忘れていると未読とおなじ。それから、重くない、深くない。そんな長編ならキッチンでも読めるとわかった。
 さて、きのうからバスの中で読みはじめたのが Jenny Erpenbeck の "The End of Days"(2012)。2015年の Independent Foreign Fiction Prize の受賞作であり、2016年の国際IMPACダブリン文学賞の最終候補作でもある。ドイツ語からの英訳だ。
 上の2つの賞は、知らない作家の知らない作品の中で、安心してトライできるものを教えてくれる有意義な賞である。ぼくもこれまでずいぶんお世話になった。
 今回も当たりのような気がする。冒頭、生後まもない赤ん坊が死んでしまい、母親が悲嘆にくれる。彼女はユダヤ人。現代の話らしいが、過去にさかのぼることもあり、どうやらナチスがからんでいるようだ。さて、どうなりますか。
(写真は、宇和島市神田川原(じんでんがわら)にあった貧乏長屋の大家さん、コウノさんの旧宅。いまでは長屋ともども更地になっている。昔の雰囲気たっぷりの写真を撮っておいてよかった)