人生、山あり谷あり、道に起伏あり。日曜日の転倒事故以来、道路のちょっとした段差にも気をつけるようになった。ぼくももうすぐ前期高齢者。事故は、これから何かと用心しろ、という神様からのメッセージだったのかもしれない。
ともあれ、きょうは無理をせず欠勤。代わりに午前中は〈自宅残業〉。昼寝から覚めたところで、ショスタコの「ヴァイオリン協奏曲」をたぶん、初めてじっくり聴いた。暗い出だしは15曲の弦楽四重奏曲そっくり。いまもBGMに流しているが、聴いていると、ますます落ち込んでくる。が、後半で救われる。
このバティアシュヴィリ盤には、アルヴォ・ペルトの「鏡の中の鏡」も収録されている。ピアノはグリモー。粒立ちのいい音で、Hudson & Kruse 盤よりもさらに清澄な印象を受ける。
ゆうべは「マジック・イン・ムーンライト」を見た。とてもゴキゲンな映画で、ネクラのぼくも思わずニッコリ。ぼくも転んでばかりでなく、何か楽しいマジックに出会わないかな。
先月から読んでいる本のうち、『波の塔』は結末を思い出したところでストップ。救いがなく読むのがつらい。『ゼロの焦点』から始まった清張の再読は、これでいったんおしまい。
『まほろば駅前多田便利軒』のほうは、先ほどやっと読みおえた。びっくり仰天するほど型破りな行天くんの存在が大きい。ハチャメチャなコメディーの中に読み取れる、人生しみじみ路線もけっこう。「幸福は再生する。形を変え、さまざまな姿で、それを求めるひとたちのところへ何度でも、そっと訪れてくるのだ」。
さて、表題作の "Chateau of Secrets" は、予想どおりの文芸エンタテインメント。気楽に読めておもしろい。
1940年、パリ陥落。ノルマンディーの貴族の館にもドイツ軍の足音が近づいてくる。娘の Giselle は脱出を試みるが失敗。館に舞い戻る。館内の礼拝堂には、弟の Michel が潜伏している。
一転して2014年、ヴァージニア州リッチモンドでは、小学校教師の Chloe が州知事候補の Austin と婚約。Chloe は Giselle と「戦争の英雄」の孫娘だが、Giselle はなぜか戦争の話をしたがらない。しかしドキュメンタリー映画製作の話が持ち上がり、Chloe はノルマンディーの館を訪れることになる。
というように、よくある過去と現代の物語が平行して進む展開だ。これからどうなるかだいたい予想はつくが、実際どうでしょう。
(写真は、宇和島市神田川原(じんでんがわら)の界隈。草むらは昔は畑で、いまは砂利の敷かれた駐車スペース。生家から小川にかかるこの橋まで、大人の足でものの3分。しかし子供のころは、ちょっとした遠出だった)