イブの晩は、生まれて初めてシャンパンなるものを飲んでいたく感激。TVシリーズの「スパイ大作戦」をリアルタイムで見なかったかみさんに1話だけつきあったあと、久しぶりにルイ・マルの「恋人たち」を見た。もう何度目だろうか、とにかくジャンヌ・モローは最高だ!
明けて昨日は、娘が「ノルウェイの森」を見てきたというので感想を聞いたら、「まあまあ。原作の雰囲気はよく再現している」とのこと。ぼくも同じ意見で、活字で読むと登場人物のユニークさが面白かったのに、映画だとその面白さがイマイチ伝わってこないとか、キズキの自殺が唐突すぎて、その痛みがさほど感じられないといった原作との違いはあるが、映画としては「まあまあ」ではないでしょうか。
さて、この土日も午前中はいつもどおり「自宅残業」。おまけに、年賀状の作成に四苦八苦したが(プリンターが故障!)、"A Happy Marriage" のほうは順調にボチボチ読んでいる。今のところ前回同様、タイトルと違って、「ある夫婦の出会いと別れ」というほうが正確な「一粒でふたつの味」がする作品だ。
まず過去編は恋愛小説で、主人公の青年 Enrique が将来の妻 Margaret と出会う。Enrique は小説を書きたくて高校を中退、処女作は大いに売れたものの2作目でつまずき、親の経済援助を受けている。そんな回想が混じってシリアスなタッチも帯びるようになったが、メインはやはり、恋敵とのつばぜり合いや自信喪失、初デートのときめきなどの恋模様。仕草や表情、情景の描写がこまかく、テーマのわりに読みごたえがある。
現代編は家庭小説で、Enrique と30年も連れ添った Margaret が末期ガンで治療を断念、自宅に帰ってホスピスのケアを受けようとしている。難病を扱った小説は今までも何冊か読んだことがあるが、病状もさることながら、尊厳死を望む妻と献身的な夫をめぐる人間関係が非常にリアルだ。治療の続行を勧める医師、葬儀や墓地の手配を申し出る Margaret の両親、最後の面会を希望する友人たち…。やはり身内の死は大変なことだと気が重くなり、いつか必ず訪れる家族との別れを思うと胸が詰まってしまう。
ともあれ、そんな「一粒でふたつの味」がどこでタイトルの "A Happy Marriage" に集約されるのか、それが本書の読みどころかもしれない。