この3連休は結局「自宅残業」に追われ、本書はボチボチしか読めなかった。久しぶりに家に帰ってきた社員研修中の娘も課題があるとかで、早々にまた入寮。そういえば、仕事が落ちついたら連絡をくれることになっている友人も何も言ってこない。ぼくだけじゃなく、みんな忙しいんだろうな。
読むペースが落ちた理由はほかにもあり、予想どおり激しい戦闘が始まるまで前回、前々回とほぼ同じ内容が続き、正直言って少々飽きてしまった。司令官の偽善や欺瞞、部下の野心と不満、そしてなかんずく、黒人兵と白人兵の対立。この人種問題に割かれる紙幅は相当なもので、もしかしたらこれがヴェトナム戦争を描くうえで「斬新なアプローチ」なのか、いや、まさかそんなことは、と疑ったほどだ。
要するに、どうも型どおりだなと眠い目をこすっていたら、これまた定石ながら、作戦遂行にむけて次第にサスペンスが高まり、いよいよ壮絶な戦闘開始! まるで映画でも観ているようで、作戦内容からしてぼくは「ハンバーガー・ヒル」を思い出した。べつに上出来の映画ではなかったが、凄惨きわまりない戦闘場面だけはなんとなく憶えている。
というわけで今日はペースが戻り、ようやくあと1日くらいで読了できそうなところまでこぎ着けた。明晩はまた一杯やることにしているので、それまでにレビューを書けるかどうか…仕事もあるのでまあ無理だろうな。
ともあれ、「なぜ今ごろヴェトナム戦争の小説なのか?」という疑問をもって取り組んだ本書だが、例によって鈍感なせいか、いまだにわからない。あの戦争の世界史的な位置づけ、少なくとも、その後の東アジアとアメリカにとっての意味が示されることをひそかに期待していたものの、そういうマクロな視点はほとんど認められない。
ただ、戦闘場面は上記のように壮絶そのものだし、投入された兵士たちの心理描写もリアルで説得力がある。この爆発的な盛り上がりのためには、中盤過ぎまでの「少々飽きてしまった」悠々たる展開も自然な流れと言えるだろう。さて、どんな幕切れが待っているのでしょうか。