ようやくちょっぴり体調がよくなってきた。べつに薬は服んでいないのだが、ネットに載っていた首のストレッチを毎日、小さな仕事の切りがつくたびに実行している効果が出てきたのかもしれない。年明けからの記事を読み、心配してメールをくれた友人もいる。この場を借りて改めてお礼を言いたい。
さて、Elizabeth Haynes の "Into the Darkest Corner" に続いて、同じくアマゾンUKの総合 Best Books of 2011 に選ばれた Ruta Sepetys の "Between Shades of Gray" に取りかかった。今回も「見てくれ買い」である。じつはこれ、簡単な英語だしノリもよく、上に述べたように体調も少し回復してきたのでどんどん進み、この日記を書かなければ今日中に読了できるはずなのだが、さすがにレビューは書けそうにない。そこで、とりあえずお茶を濁すことにしよう。
ジャンルは歴史小説。舞台は1941年のリトアニアに始まり、今は何とシベリアの北極圏だ。旧ソ連がリトアニアを併合した翌年のある日の夜、突然、リトアニアの小さな町に住む15歳の少女の家に NKVD、秘密警察の要員が乱入し、少女は母と弟ともども逮捕連行され、遠くシベリアの地へと強制移住させられる。大学の副学長の父親も出先ですでに逮捕された模様。
と書いただけで、もうピンとくるだろう。ナチスによるユダヤ人の迫害や、スターリンの恐怖政治などでおなじみの「あの話」です。目新しいのは、旧ソ連国民ではなく、バルト3国の人々が犠牲者として描かれている点で、ぼくはこの史実を扱った小説を読むのは初めてだが、おそらく過去にもあまり例がないのではないか。
だからといって、内容そのものは決して目新しくない。これがまあ最大の難点ですな。次に、クイクイ読めるのはいいのだが、そのぶん描写が荒くなっている。いくら想定内の出来ごとでも緻密な描写を積み重ねて行けば、それなりにリアリティーが増し、次第に圧倒されるものだが、本書の場合、そういう努力がちと足りません。
それでもぼくはおセンチなので、たとえば少女が北極圏に移送される前、アルタイの集団農場で強制労働に従事していたころ、自分の誕生日を母も弟も忘れていると思ったら、まわりの人たちと一緒にサプライズ・パーティーをひらいてくれた話や、移送の当日、集団農場で仲よくなった少年と駅で別れる場面など、思わずぐっときましたね。さて結末はどうなるんでしょう。