Yann Martel の最新作、"The High Mountains of Portugal" を読んでいる。Garth Greenwell の "What Belongs to You" や Graham Swift の "Mothering Sunday" 同様、本書もあちらのファンのあいだでは、今年のブッカー賞の有資格候補作に挙げられているようだ。
日本ではまだハードカバーしか出ていない。ペイパーバック版は9月1日発売とのこと。が、ぼくはわざわざアマゾン・カナダからそのペイパーバック版を取り寄せた。送料込みでもハードカバーより安かったからだ。
Yann Martel といえば、何と言っても2002年のブッカー賞受賞作、"Life of Pi" で有名な作家である。読書記録によると、ぼくは翌年の初めに読んでいた。当時はブッカー賞なるものにあまり興味がなかったが、たしか神田の三省堂で平積みされているのが目にとまり、ふうん、ブッカー賞ねえ、てな感じで買い求めたような気がする。
おもしろかった! 故・殿山泰司の名セリフを借りれば、「クイクイ読めた」のを昨日のことのように憶えている。が、まだレビューらしきものを書き始める前のことで、「少年と虎の漂流物語」と上の記録に一口メモを残しているだけだ。
その後、Martel の作品とは長らくごぶさたしていた。同じく縁がなかった Graham Swift の上掲書が期待はずれだったので、この "The High Mountains of Portugual" もひょっとしたら、と少々不安だったが、これはイケます!
さすがに "Life of Pi" ほどのクイクイ度ではないが、それでも最近読んだブッカー賞有資格候補作の中ではいちばんおもしろい。具体的に言うと、ストーリー・テリング、ユーモアあふれる筆致、それから主人公のキャラ作りという点ですぐれている。
ほんとうはさらに詳しく紹介したいところだが、もっか超多忙中。ろくに進んでもいないので、きょうはこのへんで。
(写真は、宇和島市光國橋から眺めた神田(じんでん)川)