ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

“Almost English” 雑感 (2)

きょうもデスクに本書と仕事の資料を並べておき、パソコンを打ちくたびれたころで、やおら本に取りかかるという一日だった。そんな読み方では理解しにくい小説もあるが、本書の場合、どこを読んでも金太郎飴。基本的に同じ調子なので、すっとまた物語の世界…

“Almost English” 雑感 (1)

またまた、すっかりブログをサボってしまった。楽あれば苦あり。田舎でボンヤリ過ごしたのはいいが、そのあと山積していた仕事を片づけるのに追われ、おまけに夏風邪まで引いてしまった。このところ朝昼晩、一日の寒暖の差がかなりあるのも一因だが、それよ…

Tash Aw の “Five Star Billionaire” (3)

ずいぶんブログをサボってしまった。なんとか飛行機の切符が取れ、お盆からずっと愛媛の田舎に帰省していた。(写真は宇和島の料亭〈丸水〉。「がんすい」と読みます。ここで食べた鯛飯が絶品だった!) 帰省中もブログを更新しようと思ったが、まず途中寄っ…

Tash Aw の “Five Star Billionaire” (2)

まず、ぼくの Longlist: Dynamic Ranking に追加しておこう。 1. "Five Star Billionaire" 2. "Harvest" 3. "We Need New Names" 4. "The Spinning Heart" 5. "TransAtlantic" 6. "The Testament of Mary" つまり、いままで読んだなかでいちばんいい。ただし…

Tash Aw の “Five Star Billionaire” (1)

今年のブッカー賞候補作、Tash Aw の "Five Star Billionaire" を読了。さっそくレビューを書いておこう。Five Star Billionaire: A Novel作者:Aw, TashSpiegel & GrauAmazon[☆☆☆★★★] 現代の上海版『虚栄の市』、いや「虚妄の市」というべきだろう。題名から…

“Five Star Billionaire” 雑感

きょうは暑かった! おでこに冷えピタを貼り、首筋や脇の下には保冷パック。そこまでやるのにはわけがある。わが家にはエアコンがないからだ。扇風機もあるが使わない。人力扇風機、つまり、うちわをパタパタやりながら、上のかっこうで何とかしのいでいる。…

NoViolet Bulawayo の “We Need New Names” (3)

前半は、大ざっぱに言えばジンバブエ版『パール街の少年たち』。破天荒な狂騒劇が連続するなかに哀感もただよい、読み物としてもおもしろい。その流れからすると、最後だけ文学的に深いテーマを掘り下げるわけにはいかなかったのかもしれない。が、肩すかし…

NoViolet Bulawayo の “We Need New Names” (2)

点数的には厳しめになってしまったが、じつは★をひとつオマケすべきかどうかけっこう迷った。これで今年のブッカー賞候補作を読んだのは5冊目だが、楽しい読み物としては本書が随一かもしれない。おとといの2013 Longlist:Dynamic Ranking に追加しておこう…

NoViolet Bulawayo の “We Need New Names” (1)

今年のブッカー賞候補作、NoViolet Bulawayo の "We Need New Names" を読了。Bulawayo はジンバブエ出身の新人作家で、本書は彼女の長編デビュー作である。さっそくレビューを書いておこう。We Need New Names作者:Bulawayo, NoVioletChatto & WindusAmazon…

Colum McCann の “TransAtlantic” (2)

ぼくのアンテナに掲載している The Mookse and the Grimes Forum に、2013 Longlist:Dynamic Ranking というコーナーがある。いま見ると、どれもまだ中間報告だが、5人の読者がブッカー賞ロングリストのランキングを発表している。さっそくマネしてみよう。…

Colum McCann の “TransAtlantic” (1)

今年のブッカー賞候補作、Colum McCann の "TransAtlantic" をやっと読了。さっそくレビューを書いておこう。TransAtlantic作者:McCann, ColumBloomsbury Publishing PLCAmazon[☆☆☆★] アメリカの奴隷制時代から21世紀の現代まで、大西洋をわたった人びとの運…

“TransAtlantic” 雑感 (2)

きのう出かける前に大急ぎで書いた雑感を読みかえしたところ、いろいろなミスを発見した。再録した昔のレビューも気に入らず改稿。どうでもいいような駄文なのだけれど、少しでもましなほうがいい きのうの外出先は、六本木の国立新美術館。書道の大家、手島…

“TransAtlantic” 雑感 (1)

超多忙の毎日からようやく解放され、いままで途切れ途切れに読んでいた今年のブッカー賞候補作、Colum McCann の "TransAtlantic" に今日から本格的に取りかかった。McCann の作品を読むのはこれで3冊目である。 Colum McCann というアイルランドの若い、い…