ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

Arundhati Roy の “The Ministry of Utmost Happiness”(1)

ゆうべも書いたとおり、Arundhati Roy の新作 "The Ministry of Utmost Happiness"(2017)を読了。フィクションとしては20年ぶりの2作目である。ひと晩寝かせたところで、さて、どんなレビューになりますやら。The Ministry of Utmost Happiness: A novel…

"The Ministry of Utmost Happiness" 雑感(2)

夕食後、やっと本書を読みおえた。いつもなら、さっそくレビューを書くところだが、いまは風呂上りでもう時間がない。きょうはメモの確認だけ。 当初は Anjum という hijra(両性具有者)が主人公。彼女(彼)はインドの首都、デリー市内の墓場に住んでいる…

"The Ministry of Utmost Happiness" 雑感(1)

Arundhati Roy の "The Ministry of Utmost Happiness"(2017)を読んでいる。今月6日に出版されたばかりの新作だ。 Arundhati Roy といえば、ご存じ1997 年のブッカー賞受賞作、"The God of Small Things" で有名なインドの作家である。あれは本当にすばら…

Mohsin Hamid の “Exit West”(3)

本書はたしかに恋愛小説である。が、それより何より、街なかに突然出現したドアを通じて、アジアやアフリカなどから先進国へ瞬時に移動できる、という近未来のSF的な設定で移民問題を大々的に扱っている点がミソだろう。 ぼくは最初、移民と先住民の激しい対…

Mohsin Hamid の “Exit West”(2)

Mohsin Hamid の作品を読むのは本書で3冊目。初めて読んだのは、ご存じ2007年のブッカー賞最終候補作 "The Reluctant Fundamentalist"(☆☆☆★★)。当時のレビューを読みかえすと、わりとおもしろい、という程度だったようだ。 次に、ちょうど4年前の今ごろ…

Mohsin Hamid の “Exit West”(1)

ゆうべ、Moshin Hamid の最新作、"Exit West"(2017)を読了。眠かったのでレビューはきょうに回すことにした。はて、どんな駄文になりますやら。Exit West: SHORTLISTED for the Man Booker Prize 2017作者:Hamid, MohsinHamish HamiltonAmazon[☆☆☆★] いま…

Hassan Blasim の “The Iraqi Christ”(2)

つい先ほど検索して驚いた。本書が2014年に受賞した Independent Foreign Fiction Prize は、なんと2015年で終了。例の Man Booker International Prize に一本化されたという。寂しいニュースだ。 ぼくがこの賞の存在を知ったのは、ノルウェーの作家、Per P…

Hassan Blasim の “The Iraqi Christ”(1)

2014年の Independent Foreign Fiction Prize 受賞作、Hassan Blasim の "The Iraqi Christ"(2013)を読了。Blasim はフィンランド在住のイラク人作家、詩人、映画製作者で、本書はアラビア語からの英訳短編集である。さっそくレビューを書いておこう。The …

Juan Gabriel Vasquez の “The Sound of Things Falling”(2)

やっと2回目を書く時間が取れた。しかし読みおわってから一週間。早くも記憶が薄れかかっている。ほんとに☆☆☆★★★でよかったのかな。 じつはレビューを書きながら、最後の★を消したり加えたり、ずいぶん迷ってしまった。たかが5点、されど5点。 結局、途中…

Sebastian Barry の “Days without End”(4)

もう一回だけ続きを書いておこう。主人公 Thomas の親友 John がこんな話をする。John Cole says in human matters there often three things rivalling. Truths fighting one with another. That's the world, he says.(p.239) three とは、最低でも、と…

Sebastian Barry の “Days without End”(3)

順番が狂ってしまった。"Days without End" の話にもどろう。 すっかり忘れていたが、08年度のコスタ賞大賞を受賞した Sebastian Barry の旧作 "The Secret Scripture" は、同年のブッカー賞最終候補作でもあった。怪しい記憶をたどると、たしか先にブッカー…

Juan Gabriel Vásquez の “The Sound of Things Falling”(1)

もう一回だけ Seabastian Barry の "Days without End" を取り上げようと思っていたが延期。意外に早く、Juan Gabriel Vásquez の "The Sound of Things Falling"(2011) を読みおえてしまった。そのレビューから先に書いておこう。2013年の国際IMPACダブリ…

Sebastian Barry の “Days without End”(2)

続きを書く時間がなかなかとれなかった。といっても、たいした補足ではない。 本書は去る1月に2016年度コスタ賞大賞を受賞。そのニュースを知ってひとまず入手したものの、すぐには食指が動かなかった。処女小説部門賞に輝いた "Golden Hill"(未読)のほう…