ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

"The Ministry of Utmost Happiness" 雑感(2)

 夕食後、やっと本書を読みおえた。いつもなら、さっそくレビューを書くところだが、いまは風呂上りでもう時間がない。きょうはメモの確認だけ。
 当初は Anjum という hijra(両性具有者)が主人公。彼女(彼)はインドの首都、デリー市内の墓場に住んでいる。なかなかユニークな設定だが、そんな生活を始めたいきさつが紹介されるのは、なんと60ページ後。この超スローペースには参った。
 やがて、のちに Anjum が育てることになる捨て子が登場。いま読み返すと、その意味もだいたいわかるが、最初は何が何やら五里霧中だった。
 その後、本書の核心部分が少しずつ見えてくる。と同時に、ヒロインも Tilo という若い女性に交代。学生時代から彼女に熱を上げていた3人の男が、カシミール問題をめぐって複雑に絡み合う。
 といっても、これも後から気づいたことで、初めはやはりピンと来なかった。とにかく、「悠々たるインダスの流れである」。その流れに乗るまで相当に時間がかかる。
 が、いざ乗ってみると、なかなかおもしろい。とりわけ中盤以降、冒険あり恋愛あり、ミステリ・タッチもあって最後は一気に読んでしまった。
(写真は、宇和島市宇和津小学校の裏手にある桜)