ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

"The Ministry of Utmost Happiness" 雑感(1)

 Arundhati Roy の "The Ministry of Utmost Happiness"(2017)を読んでいる。今月6日に出版されたばかりの新作だ。
 Arundhati Roy といえば、ご存じ1997 年のブッカー賞受賞作、"The God of Small Things" で有名なインドの作家である。あれは本当にすばらしい作品だった!
 ぼくはその昔、同賞にちょっぴり興味を覚えたころにトライ。冒頭の一節からノックアウトされた。May in Ayemenem is a hot, brooding month. The days are long and humid. The river shrinks and black crows gorge on bright mangoes in still, dustgreen trees. Red bananas ripen. Jackfruits burst. Dissolute bluebottles hum vacuously in the fruity air. Then they stun themselves against clear windowpanes and die, fatly baffled in the sun.(p.3)
 この年に落選した最終候補作はどれも未読だが、Roy が栄冠に輝いたのは順当な結果だろうと推察する。上のくだりを目にしたとたん心臓をわしづかみにされたぼくは、今とちがってノートも取らず、一気呵成に読みとおしたものだ。当然、レビューものこしていない。
 その Arundhati Roy が、小説としてはなんと20年ぶりに新作を発表。これでさっそく飛びつかなかったら、いちおう英文学ファンとは言えないでしょう。
 ところが、手元に届いたのは400ページをゆうに超える分厚い本。通勤遅読派のぼくには、けっこうしんどい大作である。
 それでもヒイヒイがんばって、ようやく半分を過ぎたところ。おもしろい? ううん、やっと少しおもしろくなってきたかな。悠々たるインダスの流れである。
(写真は、宇和島市宇和津小学校の裏手を流れる小川。昔は未整備で、川床に大きな石がごろごろ。「ウナギがおるんぞ」と従兄に誘われ、中に入って遊んだものだ。そのノブオ兄ちゃんは今年2月に急逝してしまった)