ドイツ文学のつぎに読んだのはイタリア文学の作品。正月休みということで軽めの小説を選んだ。
- 作者: Niccolo Ammaniti
- 出版社/メーカー: Canongate Books
- 発売日: 2007/04/05
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…ニコロ・アンマニーティの作品はハヤカワepi文庫から『ぼくは怖くない』が出ているが、ぼくは未読。同名タイトルの映画も未見だが、内容をネットで調べると、"Steal You Away" と同じくイタリアの田舎町が舞台で少年が主人公のようだ。本書もいずれ映画化されるかもしれない。
これは亡き殿山泰司風に言えば「くいくい読める」本だ。イタリアへ向かう飛行機の中などで読むと最高に面白いだろう。この作家はとにかくサービス精神が旺盛で、突如沸点に達する暴力シーンや、ごきげんな濡れ場をはじめ、副筋のどんなエピソードも物語性豊かに仕上がっている。人物が類型的で結末が不満などとケチをつけ、3つ星の評価にするのはぼくくらいなものかもしれない。
本書はこれ以上詳しく分析するほどの作品でもないので、昔読んだモラヴィアの小説のレビューを載せておこう。
Boredom (New York Review Books Classics)
- 作者: Alberto Moravia,William Weaver,Angus Davidson
- 出版社/メーカー: NYRB Classics
- 発売日: 2004/07/31
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…モラヴィアもアンマニーティ同様、人生の重大な問題を追求するタイプの作家ではないが、決して軽いとは言えない。ぼくは英訳で五冊も読んだが、その精緻な心理描写にはいつも感心させられる。同じ少年小説にかぎっても、たとえば "Agostino" と上の "Steal You Away" の差は歴然としている。"Agostino" はいわゆるイニシエイション物のマイルストーン的な名作だ。細部はすっかり忘れてしまったが、ルイ・マル監督の映画『好奇心』に近い世界が描かれていると言えば充分だろう。
Two Adolescents: The Stories of Agostino & Luca
- 作者: Alberto Moravia
- 出版社/メーカー: Farrar Straus & Giroux
- 発売日: 1999/05/01
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