今年のオレンジ賞の最終候補作、Charlotte Mendelson の "When We Were Bad" をやっと読みおえた。
- 作者: Charlotte Mendelson
- 出版社/メーカー: Picador
- 発売日: 2008/03/01
- メディア: ペーパーバック
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…4月15日の日記にも書いたように、これはガーディアン紙が選んだ昨年度の年間優秀作品でもある。去年はオレンジ賞の発表前に候補作を3つ読み、アディーチェの受賞を確信したものだが、今年は今のところペイパーバックで読めそうな候補作が少ない。従って、ペイパーバック・リーダーのぼくとしては、Rose Tremain の "The Road Home" も気になるものの、今年のオレンジ賞の本命はこの "When We Were Bad" だと宣言するしかない。
読後感は上のレビューに尽きているが、付け加えるなら、こまぎれに読んだわりには印象がぼやけなかった。カット割りが短いうえに、話がどんどん発展するのではなく、どのページを開いても、「コップの中の嵐」という意味では同じようなシーンの連続だったからだ。それゆえ、人間性を深く洞察したアディーチェの "Half of a Yellow Sun" と較べるといささか見劣りするが、ユーモラスな筆致にはつい顔がほころんでしまうし、家族愛を描いた家庭小説としてはほぼ完璧な仕上がり。まあ、本命に推してもいいだろう。