ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Barbara Kingsolver の “Demon Copperhead”(3)

 旅行前、もう二週間近く前からのどが少し痛く、きのうの午後には微熱も。きょう桔梗湯を処方してもらったが、かかりつけの先生によると、一日ぶん三袋とも小さな魔法瓶(小型ペットボトル)にいれて水または白湯で溶かし、よく混ぜたものを少しずつ、うがい薬代わりに使ってから飲み、一日で飲みおわるように、とのこと。
 ほかの医院や薬局では食前に一袋ずつ、といわれるのがふつうで、たぶんそれが一般的な服用法なのだろうけど、なにしろ上の先生は、「医師自身が診てもらいたい名医」にも選ばれたことのあるほんとうの名医。ぼく同様、よくのど風邪をひくひと、軽症ならぜひ上の方法を試してみてください。
 というわけで、旅行中よりむしろ旅行後のほうが知的怠惰の日々。とうに読みおわるはずだった Herman Diaz の "Trust" も、病院の行き帰り、バスのなかでやっとまた取りかかったところ。でもこれ、おもしろいです。
 たとえば第三部のヒロイン、老作家の Ida Partenza が若い娘のころ、ニューヨークの大会社の面接試験をうけたくだり。社長秘書志望ということで、たくさんのライバルたちと同席したときのようす、悲喜こもごもがとてもリアルで思わず引きこまれる。なんてことのないエピソードだけど、細部がよく書けている作品に駄作はほとんどありません。
 表題作はどうか。その答えの前にまず、"Trust" との比較から。ピューリツァー賞の二冊同時受賞はおそらく史上初、という快挙を成しとげた両書だが、二冊ならべると主人公たちの貧富のコントラストが鮮やかだ。しかもアメリカ全体としても貧富の典型例となっている。おそらくそれが同時受賞の理由のひとつでは、と思えるほど対照的であり、選考委員諸氏も、貧富どっちも捨てがたいよね、と悩んだのかもしれない。
 ただ Ida は昔は貧乏娘だったが、社長のほうは巨万の富を築いた金融王。第一部では19世後半から20世紀前半まで臨機応変、状況に即した先祖代々の業績が挙げられ、第二部では社長夫人がヒロイン。悲惨な体験も紹介されるものの、おおむね富の物語となっている。
 一方、"Demon Copperhead" のあらすじは「貧乏少年が数々の辛酸をなめながら成長していく」というもの。まさに "Trust" と好一対である。
 さてその細部は? こちらもすごいものです。さすが Kingsolver だけあって、その筆力もキング級。むろん全体としても駄作ではない。
 だけどぼくは開巻しばらくしてから最後まで、あまり乗れなかった。きょうはその理由と、おもしろかったエピソードについてふれるつもりだったのだけど、ここでちょっと頭が痛くなってきた。今回も看板に偽りありでスミマセン。(この項つづく)

(下の写真は、柳川藩主立花邸「御花」のひな飾り。じつに豪華でした)