Steve Toltz の "A Fraction of the Whole" をやっと読了。ぼくが読んだのは Spiegel & Grau の米版だが、英版では700ページを超える大作である。
![A Fraction of the Whole A Fraction of the Whole](https://m.media-amazon.com/images/I/51cS3Y+vI-L._SL500_.jpg)
- 作者:Toltz, Steve
- 発売日: 2008/02/12
- メディア: ハードカバー
![A Fraction Of The Whole A Fraction Of The Whole](https://m.media-amazon.com/images/I/51wssP+WHOL._SL500_.jpg)
- 作者:Toltz, Steve
- 発売日: 2008/05/29
- メディア: ハードカバー
…46人のカスタマー評の平均が星4つ、という英アマゾンにおける評判を知り、これは行けそうと思って読みだした。事実、最初から3分の2くらいまではとても面白かったのだが、そのあと前にも書いたように飽きてしまい、最後はかなり退屈だった。改めて英アマゾンのレビューを読んでみると、途中で投げ出してしまった人もいるようだ。
食傷の原因は単純で、いくら刺激が強くても、やがてそれに馴れてしまうということだ。最後まで感覚が麻痺することなく、スケールが大きくて劇的な展開を楽しめる読者もいるはずだが、ぼくは終盤、どんなエピソードを読み、その合間に語られるどんな思索に接しても、ああまたか、としか思えなかった。それまでに作者は言いたいことをほぼ言い切っている。それなら何もこんなにゴチャゴチャ書き足さなくてもいいのに、と鼻白んだのだ。
とはいえ、そんな愚痴をこぼすのも、それだけ大長編を読む体力が落ちているのかもしれない。全体として悪い出来ではないので、今年のブッカー賞の有力候補に挙げてもいいだろう。