ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Louise Douglas の "The Love of My Life"(1)

 ブッカー賞のショートリストが発表されたがhttp://www.themanbookerprize.com/news/stories/1275、ロングリストの中から読んでみた2冊はいずれも落選。残った候補作はどうやらハードカバーでしか入手できそうにないので、今年も残念ながら高みの見物としゃれこむことにした。今日は帰りのバスの中で Louise Douglas の "The Love of My Life" を読みおえたので、昨日の雑感と大同小異だが、いつものようにレビューを書いておこう。

The Love of My Life. Louise Douglas

The Love of My Life. Louise Douglas

[☆☆☆★★] タイトルどおり一生で最高の愛を謳ったメロドラマ。夫を交通事故で亡くして悲嘆に暮れるオリヴィアが夫の弟と関係する。弟には妻子がいる。ありきたりの筋書きだが、弟の妻は昔からなぜか公然と敵意を示し、義理の母もオリヴィアを冷遇。その理由がオリヴィアの回想を通じて次第に明らかにされると同時に、弟との不倫も意外な方向へ進む。自由奔放だが愛情豊かなオリヴィアと、幼いころから彼女に思いを寄せる双子の兄弟。月並みなキャラクターで心理描写も型どおりだが、現在と過去の事件が交互に進行し、それがほぼ同時にクライマックスを迎えたのちに合流、一気に終幕へとなだれこむ構成がうまい。兄弟はもちろん、ほかにもオリヴィアをめぐる男たちの動きが面白いし、何より愛と喪失、そして再生の物語として読後感が爽やか。英語も簡単なので、通勤途中、しばし快適なひとときを過ごすことができる。