ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“The Legacy”雑感(1)

 残念ながら挫折した "I Hotel" の代わりに、今日から Katherine Webb の "The Legacy" に取りかかった。これはもう6月ごろからずっと読みたかった本で、そのころはアマゾンUKのフィクション部門ベストセラー・リストに名を連ねていたが、今調べると載っていない。が、本全体で300番台の売れ行きということで、相変わらず人気を保っているようだ。
 今日はほんの少ししか進まなかったが、これは今のところ、ぼく好みの作品らしくホッとしている。相当に野心的な構成だった "I Hotel" のあとに接すると、すべてが心地よいルーティン・ワーク。物足りないと言えば物足りないが、口直しにはもってこいだし、仕事の合間をぬって読むのにもこちらのほうが安心だ。 
 ジャンルとしてはたぶんゴシック・ロマンに入るだろう。おおよそ100年の時を隔てて2つの物語が進行している。現代編の舞台はイギリスの片田舎にある古い大きな屋敷。そこに住んでいた祖母の死後、主人公の孫娘が姉と一緒に訪れるのだが、どうやらその昔、屋敷では何やら大事件があったらしい。まだ人物関係もあやふやな段階だが、ざっと以上の話からだけでも「心地よいルーティン・ワーク」だとわかる。しかし面白い。
 もう1つの話は20世紀初頭のニューヨークが舞台。現代編の姉妹にとって曾祖母にあたる女性が主人公で、両親の死後、伯母に育てられていた彼女は、やがて伯母の反対を押し切ってオクラホマの農場主と結婚。だが、プロローグでは、彼女が赤ん坊を置き去りにするというショッキングな事件が起きている。こちらもこの先、楽しい展開となりそうだ。