現在アメリカで "The Invisible Bridge" が人気を博している Julie Orringer の処女短編集、"How to Breathe Underwater" をやっと読みおえた。さっそくレビューを書いておこう。
[☆☆☆★★★] 青春時代の女性が思い悩み、体験する日常の出来ごとを最大限にドラマ化した短編集。どのヒロインも容貌はせいぜい十人なみ、多くの場合不器量で、加えてネクラで地味な性格ゆえ、美人のいとこや友人たちが人気を集めるのを尻目に悶々としている。恋敵をはじめ、うまの合わない連中とのあいだに緊張がつづき、やがて相手のせいで大事件が発生。巻きこまれたヒロインたちは人生の厳しい現実を思い知らされる。その最たるものは、「少女」ということばのもつ純真無垢なイメージとは裏腹に、若い娘たちの世界にもじつは残酷でエゴイスティックな欲望や本能が働いているということだ。この劇的な展開が巧みな筆さばきで描かれ、また突然の事態の変化にゆれ動く娘心の描写も秀逸で、どの結末にも深い余韻がのこる。「最大限にドラマ化」された通過儀礼の事件簿である。