ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Jojo Moyes の “Me Before You” (1)

 イギリスの最新ベストセラー、Jojo Moyes の "Me Before You" をやっと読みおえた。さっそくレビューを書いておこう。

Me Before You: Discover the book where it all began. The love story that captured a million hearts

Me Before You: Discover the book where it all began. The love story that captured a million hearts

[☆☆☆★★] よく出来たヒーリング小説だ。全体の流れこそ冒頭の数章からすぐに察しがつくものの、やっぱり思ったとおり、と斜に構えながら読んでいるうちに結局引きこまれてしまった。何より主人公の若い女性ルーの猪突猛進、熱血ぶりがいい。台所の苦しい一家を支えるべく、ヘルパーの経験もないのに陽気な性格を買われ、交通事故で脊髄を損傷した富豪の息子ウィルの介護を手伝うことに。ルーは軽いノリのコミカルな現代娘だが、自分に正直で正義感が強く、心の奥には深い傷があり、非常に繊細で情にもろい。そんなルーと接するうちに、車椅子の生活で固く心を閉ざしていたウィルは次第に明るさを取り戻していく。定石どおりの展開だが、主筋と副筋の組み合わせ方がうまく、また喜びの絶頂と悲しみのどん底が連続して起伏に富み、視点も適宜変化させるなど、さまざまな工夫がほどこされているのでついページをめくってしまう。献身的な愛のすばらしさに胸を打たれ、障害者の絶望の深さを知って茫然となる。その絶望と健常者はどう向き合えばいいのか――それが最後の読みどころだ。難度の高い熟語表現が頻出するものの、そのわりに読みやすいバリバリの現代英語である。