ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Victoria Connelly の “Love in an English Garden”(2)

 いま読んでいるのは、今年の全米図書賞受賞作 Jesmyn Ward の "Sing, Unburied, Sing"(2017)。彼女としては、2011年の "Salvage the Bones"(☆☆☆★)以来、2度目の受賞である。
 などとエラソーなことを言ってはいけない。じつは、"Salvage the Bones" のレビューを書いたことも忘れていた。ただ、タイトルと作家名にはなんとなく記憶があり、たしか前の本は読みやすかったから、こんどもチョロイもんだろうと思って取りかかった。
 それがあともう少しなので、"Salvage the Bones" は実際どんな作品だったっけ、と読書記録を検索してみたところ、あれま、レビューらしきものを書いているではないか。しかも、全米図書賞受賞作ときた。毎度ながらボケてますな。
 閑話休題。「チョロイもんだろう」と思った "Sing, Unburied, Sing" は、けっこうキツイ作品である。理由は後日述べるとして、とにかく純文学というのはシンドイものだと思う。
 で、シンドイ作品ばかり読んでいると、たまにひと息いれたくなる。表題作の "Love in an English Garden" は、今年の初めごろだったか、そんな気分のときにジャケ買いした本である。
 当たりでした。2塁打くらいかな。「思い屈した夜に読むと間違いなく、泣ける」。ぼくも人の子、読んでいて目がウルウルしそうになったことがあった。
 おもな登場人物は、レビューでも紹介したとおり、サセックス州の大邸宅の女主人ヴァネッサと、屋敷の半分を買い取ったローレンス、それから庭師のマーカス。もちろん、ほかにも何人か重要な役回りを演じる人物はいるのだが、その関係にざっとふれるだけでネタを割ることになる。それほど単純な話です。
 そこできょうは、ぼくのジャケ買いのポイントをいくつか挙げておこう。
 まず、ネットサーフィンの出発点の本を決める。この "Love in an English Garden" の場合は、Kate Morton の "The Forgotten Garden"(2008 ☆☆☆☆)だったような気がする。
 次に、関連作品をサーフィンしながら、気に入ったジャケットとタイトルのものに目をつけ、レビュー数の多さと平均点の高さをチェックする。本書はアマゾンUKでレビュー数165、平均4.5。Connelly の前作 "The Rose Girls"(2015)は659で4.0だから、そちらを先に読むべきだったかもしれませんな。
 それから、ちらっと紹介記事を読む。読みすぎるといけません。ほんとにちらっとだけ。本書の場合、The Jacobs family has lived at Orley Court for generations.  But when Vanessa Jacobs's husband dies.... あたりまで。
 最後にもう一度ジャケットをながめる。あちらのペイパーバックはよく出来ていて、その小説にふさわしいカバー絵がほとんどだから、その絵の中に入って行きたいかどうか、それがやっぱり決め手でしょう。
 要するに、自分のカンに頼るだけ、といういい加減な方法だが、それでも当たったときの喜びはまた格別である。ただの自己マンですけどね。
 しかしながら、自分で何度も当たりはずれを経験しないとカンは養われない。それだけは自信をもって言えます。
(写真は、宇和島市妙典寺の裏山の桜)