ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

"Sword of Honour" 雑感(2)

 今週は風邪をひいてしまい絶不調。さいわい検査の結果、インフルエンザではないとのことだったが、高熱が出たらすぐに休日診療所に行くように言われた。一方、息子も初孫もインフルエンザにかかったものの、タミフルのおかげでとうに回復。ふつうの風邪のぼくだけ具合がわるいとは、やはり年のせいだろうか。
 ともあれ、前回の記事に、せっかく ebikazuki さんから励ましのスターを頂戴したのに、上の事情で活字を追いかけるのがしんどい。申し訳ないです。
 というわけで、"Sword of Honour" もろくに進んでいない。そこできょうは、いままで気がついたことを少しまとめるだけにしておこう。
 まず、Evelyn Waugh は話術がうまい。読んでいて、ちょっとした会話に思わずプッと吹き出したり、会話と地の文のつなぎに舌を巻いたりすることが多い。Waugh を読むのはこれで6冊目なのだけれど、5冊目はなんと14年前。 

 だから大いに記憶があやふやなのだが、以前は話術の巧みさをそれほど実感しなかったような気がする。Waugh を楽しむには、ある程度、修練が必要ということだろうか。
 つぎに前回、「戦争の不条理がじわじわと伝わってくるところがとても面白い」とメモした点について。その不条理とは Waugh の場合、こういうことかもしれない、と思うようになった。
 つまり、戦争の狂気や残虐性、あるいは無益さというふつうの意味と違って、ここで描かれているのは、戦時にもかかわらず、人間は目先の些事にこだわるものだという不条理である。深刻な事態であればあるほど、そのおかしさが増幅される。
 さらに言えば、人間はもともと不条理な存在であり、戦時になるとそのおかしさが増す、ということかもしれない。あるいは、平時なら何でもないことが、戦時になると、その些末さゆえに不条理でおかしなものとなる。
 ううむ、ほんとにそうなのかな。自信がない。なんだかもう頭がボーっとしてきた。早いとこ頓服を飲まなくては。
(写真は、愛媛県宇和島水産高校と、えひめ丸慰霊之碑)

f:id:sakihidemi:20181019103915j:plain

f:id:sakihidemi:20181019103744j:plain