ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

Andrew Sean Greer の “Less”(1)

今年のピューリッツァー賞受賞作、Andrew Sean Greer の "Less"(2017)を読了。さっそくレビューを書いておこう。Less (Winner of the Pulitzer Prize): A Novel (The Arthur Less Books, 1)作者:Greer, Andrew SeanBack Bay BooksAmazon[☆☆☆★★] おれの、わ…

Dave Eggers の “What Is the What”(4)

前回(3)からずいぶん間があいてしまったが、あと少しだけ補足しておきたい。本書はスーダンの内戦によって発生した難民の物語ということで、彼らに襲いかかる危険や困難がリアルに描かれている。が、それは、あえて不謹慎な言い方をすれば〈想定内〉。小…

Salman Rushdie の “Midnight's Children”(1)

1981年のブッカー賞受賞作、Salman Rushdie の "Midnight's Children"(81)を読了。周知のとおり、1993年には Booker of Bookers にも選ばれている。さっそくレビューを書いておこう。Midnight's Children作者:Rushdie, SalmanRandom House UK LtdAmazon[☆☆…

Amos Oz の “A Tale of Love and Darkness”(2)

老後の生活は悠々自適と期待していたが、あに図らんや、このところ何かと雑用に追われ、思うように本が読めない。ブログも更新する気になれなかった。そんないま、ボチボチ読んでいるのが Salman Rushdie のご存じ "Midnight's Children"(1981)。 え、ホン…

2018年国際ブッカー賞発表(Man Booker International Prize 2018)

イヤな予感が当たってしまった。今年の国際ブッカー賞は Olga Tokarczuk(Jennifer Croft 訳)の "Flights" に決定。(前回では、作者と訳者を勘違いしていました)。Olga はポーランドの著名な作家だそうだ。Flights作者:Tokarczuk, OlgaRiverhead BooksAma…

Han Kang の “The White Book”(2)

いくつか落ち穂拾いをしたい作品があるが、きょうは順番を変えて "The White Book"。ご存じ今年のブッカー国際賞最終候補作である。現地ファンのあいだでは1番人気のようだ。 ちなみに、2番・3番人気は Olga Tokarczuk(Jennifer Croft 訳) の "Flights"…

Han Kang の “The White Book”(1)

今年のブッカー国際賞最終候補作、Han Kang の "The White Book" を読了。さっそくレビューを書いておこう。The White Book作者:Kang, HanGranta BooksAmazon[☆☆☆★★] 生きていると、言葉にならない苦しみや、言葉をかけようもない悲しみを経験することがある…

Amos Oz の “A Tale of Love and Darkness”(1)

イスラエルの作家 Amos Oz の自伝小説 "A Tale of Love and Darkness"(2002)を読了。原書はヘブライ語で、英訳の刊行は2004年。Wiki ではノンフィクション・ノヴェルに分類されている。さっそくレビューを書いておこう。A Tale Of Love And Darkness作者:O…

Dave Eggers の “What Is the What”(3)

この本については書きたいことがたくさんある。ありすぎて、数回では収まりそうにないくらいだ。きょうは最重要点と思われることだけ挙げておこう。 まず、これは純然たるフィクションではない。おそらく周知の事実だろうが、著者 Dave Eggers と、Valentino…

Dave Eggers の “What Is the What”(2)

積ん読の山の中で、この本は前から気になっていた。前回アップしたのは Penguin 版だが、実際に読んだのは Vintage 版。あるとき、アマゾンUSでいろんな作品を検索するたびに、どういうわけかこの Vintage 版の表紙が目につくようになった。 なかなかのコワ…

Dave Eggers の “What Is the What”(1)

2006年の全米批評家協会賞最終候補作、Dave Eggers の "What Is the What"(2006)を読了。さっそくレビューを書いておこう。What is the What作者:Eggers, DavePenguin Books Ltd (UK)Amazon[☆☆☆☆★] スーダンの内戦勃発により国外へ脱出した難民の自伝にも…

Ahmed Saadawi の “Frankenstein in Baghdad”(2)

妙な言い方かもしれないが、老後の生活もやっと軌道に乗ってきた。ハローワークで失業保険の手続きを済ませ、フィットネスクラブに通って運動を開始。もっか、バタ足の練習をしているところ。 何よりほぼ一日一本、映画を見られるようになったのが大きい。ぼ…

Ahdaf Soueif の “The Map of Love”(2)

これは〈恥ずかしながら未読シリーズ〉なのか、それとも〈ジャケ買いシリーズ〉なのか。ともあれ、いつだったかブッカー賞の受賞作や候補作を検索しているうちにタイトルと表紙が目にとまり、さっそく入手したものの、以来積ん読。先日、「そうだ、長い本を…