Elizabeth Berg の "We Are All Welcome Here" を読了。「文学の夏」シリーズ以来、大作ばかり読んでいたので、今度は肩の凝らないものを、と思って取りかかったのだが、いささか期待はずれだった。

We Are All Welcome Here: A Novel
- 作者: Elizabeth Berg
- 出版社/メーカー: Ballantine Books
- 発売日: 2007/04/17
- メディア: ペーパーバック
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…ううむ、もっと泣かせてほしかった。前作 "The Year of Pleasures" http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20080328 より明らかに落ちる。前にも書いたように、エリザベス・バーグは「人生の重大な問題を深く掘り下げるタイプの作家ではない」。制約の多い単純な設定だけに、今回はその欠点が目立ってしまった。
舞台は60年代、まだ黒人差別が根強く残っているミシシッピ州の田舎町ということで、バーグにしては珍しく社会問題も描かれる。が、それはあくまで背景にとどまり、本質的には家庭小説の域を出ていない。それはそれで結構なのだが、上に述べたバーグの欠点を露呈する結果になっているのが残念。
とまあ、ずいぶんケチをつけてしまったが、プレスリーが登場する最後のエピソードがユニークで、読後感はさわやか。熱心なバーグ・ファンならそれなりに楽しめるだろう。