ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Vanessa Diffenbaugh の “The Language of Flowers” (1)

 Vanessa Diffenbaugh の "The Language of Flowers" を読了。アマゾンUK が選んだ去年のベスト小説のひとつである。さっそくレビューを書いておこう。

Language of Flowers

Language of Flowers

[☆☆☆★★★] 泣けた。途中からおおよその展開と結末が読める物語なのに、いざその場面になると、やはり泣けてきた。花の命はみじかくて…と日本では言うが、これは折にふれて花を引き合いに出しながら、数々の苦難を乗りこえて強く生きる愛を描いた感動的な小説である。舞台はサンフランシスコで、主人公は18歳になり孤児院を出たばかりの娘。花言葉など、持ち前の花の知識を買われて花屋で働くうち、やがて花の卸商人の青年と恋仲になるが、妊娠がわかるとなぜか別れを決意する。一方、これと平行して、短気で反抗的だった幼い少女時代の物語も進む。いじめや虐待に遭いながら多くの養父母のもとを転々としたあと、ようやく愛情豊かな養母に出会えたと思ったら…。なぜ娘は青年と別れなければならないのか、なぜ養母に引きとられなかったのか。2つの謎は当然結びつき、それが明かされときはきっと…というふうに「展開と結末が読める物語」だが、娘を信頼する花屋の客が増えたり、頑固な少女が養母に次第に心をひらいたりするなど、序盤にしてすでにグッとくる場面があり、そのあげくに高らかに謳われる親子、家族、夫婦の愛。涙もろい人は電車の中で読むのは禁物です。英語はごく標準的でとても読みやすい。