今年のダブリン文学賞は Jon McGregor の "Even the Dogs" に決定した。ぼくはこの本を東日本大震災直後、計画停電のさなかに懐中電灯で照らしながら読んだ憶えがある。今年のショートリストでほかに読んでいたのは、Jennifer Egan の "A Visit from the Goon Squad", Aminatta Forma の "The Memory of Love", Karl Marlantes の "Matterhorn" の3冊で、いずれも過去に有名な賞を受賞したり、年間ベストに選ばれたりしたものばかり。
ぼく自身の評価としては、"The Memory of Love" と "Matterhorn" に☆☆☆★★★を進呈しているが、ダブリン文学賞には、今まであまり評判にならなかった優秀作品を紹介する役割もあると思うので、今回の決定に異論はない。ともあれ、"Even the Dogs"のレビューを再録しておこう。