ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

David Constantine の “Tea at the Midland and Other Stories”(2)とフランク・オコナー国際短編賞受賞作一覧

 フランク・オコナー国際短編賞(Frank O'Connor International Short Story Award)と聞いてピンとくる文学ファンは、もはやそう多くないかもしれない。アイルランドの作家で短編の名手だった Frank O'Connor の栄誉をたたえて2005年に創設。毎年もっともすぐれた短編集に与えられていたものだが、残念ながら2015年に廃止されてしまった。
 この賞がわが国で一般に知られるようになったのは、2006年に Haruki Murakami が "Blind Willow, Sleeping Woman"(未読)で受賞したのがきっかけだろう。 

 が、ぼく自身は2008年の受賞作、Jhumpa Lahili の "Unaccustomed Earth"(☆☆☆☆★)を読んだとき初めて、へえ、こんな賞があるんだと知った。ついで、2011年の最終候補作、Alexander MacLeod の "Light Lifting"(☆☆☆☆)と Yiyun Li の "Gold Boy, Emerald Girl"(☆☆☆★★★)に出会い、完全にハマった。この3作がいまだにぼくの同賞ベスト3である。

  その後、せめて受賞作だけでもぜんぶ読破しようとがんばりつづけた結果、賞廃止からなんと5年もたった今秋、2013年の受賞作 "Tea at the Midland ..." でようやく目標達成。(春樹作品はいずれ日本語版で読むつもり)。周回遅れもいいところだけど、ちょっぴり達成感はある。
 この "Tea ..." は巻頭の表題作が抜群にいい。簡単にいうと男女の別れ話なのだが、これほど密度の濃い、熟読玩味に値する英文を読むのは久しぶり。レビューでもふれたように、あの 'Hills Like White Elephants' にちょっと似ている。あとの短編は、さすがに同じ水準ばかりではなかったものの、それでも全体として、この秋に読んだ作品のなかでは本書がいちばん印象にのこっている。
 ともあれ、以下、本書もふくめて既読の受賞作を紹介しておこう。( )内は受賞年ですが、刊行年と同じ場合もあります。

第1回  Yiyun Li "A Thousand Years of Good Prayers"(2005) 

第3回  Miranda July "No One Belongs Here More Than You"(2007) 

第4回  Jhumpa Lahili "Unaccustomed Earth"(2008) 

第5回  Simon Van Booy "Love Begins in Winter"(2009) 

第6回  Ron Rash "Burning Bright"(2010) 

第7回  Edna O'Brien "Saints and Sinners"(2011) 

第8回  Nathan Englander "What We Talk about When We Talk about Anne Frank"(2012) 第9回  David Constantine "Tea at he Midland and Other Stories"(2013) 

第10回  Colin Barrett "Young Skins"(2014) 

第11回  Carys Davies "The Redemption of Galen Pike"(2015)