米アマゾンで Best Paperbacks of April のひとつに選ばれているので取りかかった。Leif Enger といえば "Peace Like a River" が有名だが、恥ずかしながらずっと積ん読。昨日ちょっとふれた『オリバー・ツイスト』もそうだし、古典から現代の作品にいたるまで、書斎の本棚に飾っているだけの本が何と多いことか。今のペースだと、新刊を買わないという前提で、ぜんぶ読みおえるのに10年はかかりそう。階段下の書庫に突っこんでいるミステリ、SF、ファンタジーの山に手が伸びるのは11年後だ!
閑話休題。これは今のところ、現代版ウェスタン小説といった感じだ。いや、現代といっても20世紀初期の話だから、正しくは近代版というべきか。舞台はミネソタの田舎町に始まり、今はカンザスの観光牧場。処女作がベストセラーになったものの2作目が書けない作家が主人公で、鬱屈した毎日を送っていたが、妻の後押しもあり、知り合ったばかりの老人ともどもメキシコを目ざして旅立つ。
老人は大昔、彼の地で別れ、今では別の男と結婚している元妻と再会したいという話だったが、旅が始まるやこの老人、じつは有名な列車強盗だったことが判明。お尋ね者の老人を捕まえようと刑事や私立探偵が登場し、その対応に作家は四苦八苦する。探偵がしつこく追いかけてくるところは『明日に向って撃て!』を連想させるが、映画の迫力には負ける。が、作家が探偵と顔を合わせる散髪屋のシーンでは『荒野の決闘』を思い出したし、とにかく西部劇の匂いが漂っている。
トラベローグとしても楽しいエピソードがある。2人は最初、ボートで川を進むのだが、カミツキガメを捕まえ、あとで食べようとしたら逃げられてしまう。幸いそれをまた捕まえたところ、やがて襲ってきた強盗にそのカメが噛みつく。この一連の話はケッサクだ。
今読んでいるのは、『アニーよ銃をとれ』のアニーが年を取ったような女と老人が再会し、新たな展開がありそうなところ。作家と老人がボートから車に乗り換えたとき、行動を共にするようになった整備工の少年も活躍しそうだし、これから後半にかけて盛り上がりを期待したい。