ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

"Belong to Me" 雑感(4)

 つまりここには家庭小説、青春小説、恋愛小説など、さまざまな要素が混在し、それがさながら日替わりランチのように出てくる。おかげで今、電車の中でコマギレに読んでいても、話のつながりさえ憶えておけば充分楽しい。
 こういうタイプの総合小説、いや違うな、「ごった煮小説」といえば、ぼくがまっ先に思い浮かべるのは前回も述べたように Karen Kingsbury の諸作で、さらには Sue Miller, Anne Tyler あたりも書いていそうな気がする。とすれば、鼻祖はひょっとしたらオースティンかもしれないが、恥ずかしながら原書は未読。死ぬまでには確認しなければ。
 ともあれ、ここ数日で接したエピソードを拾っても、男女の恋愛のもつれ、父親探し、離婚、夫婦の死別、そして復活への歩みと、テーマ的にはよくある話ばかりで、三文小説そのものと言ってもいい。これが若い頃なら、くだらん小説ばっかり読むな、と某先生に叱り飛ばされているところだ。
 けれども、ぼくは一介の文学ミーハーに過ぎないので、よほどひどい出来でないかぎり、どんな作品もそれなりに楽しもうという立場だ。上に羅列した平凡なテーマでも、中には心の琴線に響くものがあるかもしれない。事実、ネクラなぼくはいわゆる難病ものに弱く、人生のはかなさを実感している。
 いろいろな食材をうまく混ぜ合わせておいしく料理してみせる芸当以外にも、Marisa de los Santos には優れた持ち味があるのだが、それはまた後日ふれることにしよう。