ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

ぼくの『マルセルの夏』

 きょうの昼過ぎ、パリ経由でマルセイユから帰ってきた。マルセイユには二泊したが、観光に費やしたのは実質一日だけ。遊覧船に乗ったあと、港に面したレストランでブイヤベースに舌つづみを打っているうちに、ああ、これで今夏、いや今年のハイライトもおしまいか、とちょっぴりセンチな気分になった。
 パリ篇のほうはまた次回にでも書ける。こんどのフランス旅行で最大の目的はとにかく、映画「プロヴァンス物語 マルセルの夏」、および、原作 "My Fathter's Glory and My Mother's Castle"(1960)の舞台である〈マルセルの小径〉を散歩することだった。(情報収集と企画はすべて、ドラ娘による)。きょうはその行き方について紹介しておこう。
 まず、午後にパリでショッピングをしたので、マルセイユ入りは夜。空港からバスでマルセイユ・サン・シャルル(Marseille Saint-Charles)駅に向かい、付近のホテルに投宿。パリに滞在せずマルセイユへ直行しても、一日目はたぶんそうなると思う。
 翌朝、同駅から電車でオバーニュ(Aubagne)へ。在来線で15分くらい。このとき、進行方向に向かって左側の座席に座るといい。オバーニュが近づくにつれ、映画の冒頭に出てくるガルラバン(Garlaban)の丘が大きく見えはじめるからだ。(ぼくは帰りに気がついた)。 

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 オバーニュ駅に着いたら、出口から左側へ進み、小さな駅前通りを渡って、バス10番乗り場から、ラ・トレイユ(La Treille)行きのバスに乗る。驚いたことに無料。終点のバス停付近にトイレがあるので、そこで用を済ませておくこと(やはり無料)。
 ラ・トレイユのバス停から、右側に向かって坂道を登る。〈マルセルの小径〉は、バス路線の途中からすでに始まっているらしい。一般的な観光コースではないので、散策のとき、Google マップは必携。登りで出会った人は数人しかいなかった。帰りは無人
 映画とおなじセミの声が聞こえてきたときは、感動した。日本のアブラゼミと似ているが、ちょっとちがう。ジッジッジッジッという感じ。下の写真付近がいちばんマルセルの小径らしい、とドラ娘。

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 マップを頼りにひたすら小径を登っていく。やがて、マルセル・パニョルの一家が夏のバカンスに使っていたという別荘に到着。時間がなければ、ここで引き返してもいいだろう。

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 時間があったので、さらに小径を登る。〈自然保護区〉とフランス語で書かれた看板を発見。細かい説明はチンプンカンプンだったが、どうやら立入禁止の文言はないようなので、鉄柵の左横から進入。下は、小径を行くドラ娘。

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 すると、映画に出てきた景観が広がる。

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 上の写真正面、ドーム状の丘の裏側まで登った。(映画の中ほど、狩りのシーンでマルセル少年はこの丘を見上げる)。下は、今回たどり着いた最高地点から眺めた風景。遠くにマルセイユ湾が見える。

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 きょう帰国してからネットで調べると、オバーニュに一泊すれば、マルセル・パニョルの墓や、映画「マルセルのお城」のほうに出てきた運河も見物できそうだが、マルセイユ市内観光をふくめた日帰りの旅ではどうも無理のようだ。再訪したいけれど、もう二度と機会はめぐって来ないだろう。とにかく、今年のハイライトは終わってしまった。