ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「96時間」と「恋人たち」

突然ですが、「96時間」を初めて観ました。「突然ですが」というのは、このマイナーなブログの、ごく少数の奇特なリピーターの方々ならおわかりでしょう。ここではぼくは、今までほとんど海外小説についての駄文しか綴ってこなかったからです。96時間 [Blu-r…

“The Stranger's Child” 雑感 (1)

今年のブッカー賞の本命では、とあちらで呼び声の高い Alan Hollinghurst の "The Stranger's Child" に取りかかった。その噂を知り、早くに入手していたのだが、何しろもっか、猫の手も借りたいほど忙しく、届いた分厚い本を見て今まで尻込みしていた。おま…

2011年ブッカー賞ロングリスト発表 (2011 Man Booker Prize Longlist)

夜中にふと目が覚めて検索したら、今年のブッカー賞のロングリストが発表されていた。これを見ると、発表前から今年の大本命では、と評判の高い Alan Hollinghurst の "The Stranger's Child" もノミネートされている。じつはその評判を知り、すでにペイパー…

Helen Simonson の “Major Pettigrew's Last Stand” (2)

レビューを書いたあとは、いつも翌日に落ち穂拾いの駄文を綴っているのだが、昨日は出勤日で大忙し。夜は夜で、ストレス発散のために一杯やったのでダウン。今日も午前中は「自宅残業」に追われ、補足を書くのがずいぶん遅くなってしまった。 これは雑感でも…

Helen Simonson の “Major Pettigrew's Last Stand” (1)

超多忙につき、予定より大幅に遅れてしまったが、何とか Helen Simonson の "Major Pettigrew's Last Stand" を読みおえた。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。Major Pettigrew's Last Stand: A Novel (Random House Reader's Circle)作者: Hel…

“Major Pettigrew's Last Stand” 雑感 (2)

世間は3連休だったはずだが、ぼくは2連休。それも「自宅残業」に追われ、本書はボチボチしか読んでいない。 となると印象はふつう薄れるものだが、本書の場合、いつどのページをひらいても楽しいシークェンスが待っている。テーマ追求型の小説ではないので…

“Major Pettigrew's Last Stand” 雑感 (1)

Helen Simonson の "Major Pettigrew's Last Stand" に取りかかった。去る4月下旬から5月上旬にかけて、ニューヨーク・タイムズ紙の Trade Paperback 部門ベストセラー・リストに載っていた本だが、ハードカバーのほうは昨年、米アマゾンの年間ベスト10に…

Kevin Barry の “City of Bohane” (2)

本書は雑感にも書いたように、今年のブッカー賞のロングリストに選ばれそうな作品ということで興味を惹かれた。実際、中盤過ぎくらいまではかなり快調で、これはひょっとしたら…と期待をふくらませていたのだが、後半になって失速。読了後の今は、本書のロン…

Kevin Barry の “City of Bohane” (1)

アイルランドの新人作家、Kevin Barry の長編デビュー作、“City of Bohane” を読みおえた。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。 追記:その後、本書は2013年の国際IMPACダブリン文学賞を受賞しました。City of Bohane作者: Kevin Barry出版社/メ…

“City of Bohane” 雑感(2)

昨日は出勤日であまり読めなかったが、今日は何とかノルマを達成。もう粗筋を書けないところまで読みすすんだ。相変わらず、出来はかなりいい。 その後いくつか明らかになったことがある。ネタばらしにならない程度にメモしておこう。まず、前回はてっきり現…

“City of Bohane” 雑感(1)

Kevin Barry の "City of Bohane" に取りかかった。Barry はアイルランドの新人作家で、2007年に "There Are Little Kingdoms" という短編集で Rooney Prize を受賞。本書は彼の処女長編である。 …などと知ったかぶりで書いたが、これすべて著者紹介の丸写し…

Anne Enright の “The Forgotten Waltz” (2)

これは既報のとおり、あちらのブロガーたちのあいだで、今年のブッカー賞ロングリストの候補作に挙げられている作品の一つだ。その後発見したサイト(http://www.waldenpondbooks.com/booker.html)でも紹介されている。Anne Enright とは相性のわるいぼくだ…

Anne Enright の “The Forgotten Waltz” (1)

Anne Enright の最新作、"The Forgotten Waltz" を読みおえた。さっそくレビューを書いておこう。The Forgotten Waltz作者: Anne Enright出版社/メーカー: Jonathan Cape Ltd発売日: 2011/04/28メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (1件) を見る[☆…

“The Forgotten Waltz” 雑感

Anne Enright の "The Forgotten Waltz" に取りかかった。ご存じ2007年度ブッカー賞受賞作家の最新作である。 ぼくはあのときの受賞作、"The Gathering" にはえらく退屈したほうだが、今回彼女の作品を読んでみようと思ったのは、今年のブッカー賞のロングリ…

今年の上半期、ぼくのベスト6

この半年で読んだ本は30冊。日本語の本は一冊も読んでいない。何だか情けない数字だが、多忙その他、諸般の事情で思うように読めなかった時期もある。宮仕えの身としては、まずまずがんばったほうだろう。去年の今ごろは、ベスト3さえ選べる読書量ではなか…

Tea Obreht の “The Tiger's Wife”(2)

今週もけっこう仕事がきつかったが、何とかウィークデーに読みおえることができた。ぼくにしてはがんばったほうだ。なぜ努力したかというと、本書の出来ばえがすばらしかったのはもちろんだが、じつはこの半年でこれが30冊目になることに気づいたからだ。よ…