前回、Lisa See の "Peony in Love" の感想を書いているうちに思い出したのが、ガルシア・マルケスの『コレラの時代の愛』である。
- 作者: Gabriel Garcia Marquez
- 出版社/メーカー: Penguin
- 発売日: 2007/08/02
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…3年前に書いたレビュー。その後出た邦訳の売れ行きは知らないが、米アマゾンではずっとベストセラーのようだ。ぼくは同じく英訳で読んだ『百年の孤独』や『族長の秋』にノックアウトされた口なので、相当に期待して読みはじめたのだが、途中からもう、なんだコレラ…とがっかりしたのを今でも憶えている。マルケスはこの作品を書いたとき、既に大作家としての名声を確立していたのに、発表後、20年以上もたってから邦訳が出たのは、それだけ評価が低かった証拠では、という気もする。
その『コレラ…』を思い出したのは、"Peony in Love" (訳せば『恋する牡丹』) と同じく永遠の愛がテーマだからだが、このテーマの極めつけは『嵐が丘』かもしれない。けれども、あの名作を英語で再読して論評する時間はない、ということでお茶を濁してしまった。
『恋する牡丹』と『コレラ…』は同じくらいの出来だと思う。まずまず面白いが、胸をえぐられるほどではない。その点、『嵐が丘』は頭一つどころかいくつも抜けていて、大昔、邦訳で3回ほど読んだだけなのに強烈な印象が残っている。あの鬼気迫る永遠の愛の正体については、いつか死ぬまでに原書を読んでぼくなりに結論を出しておきたい。
Wuthering Heights (Penguin Classics)
- 作者: Emily Bronte,Pauline Nestor,Lucasta Miller
- 出版社/メーカー: Penguin Classics
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