内職のほうは何とか目途がついたが、今度は本業で大忙し。前回、ユダヤ系作家のアイザック・シンガーでお茶を濁したので、きょうはマラマッドの "A New Life" について書いた昔のレビュー。
- 作者: Bernard Malamud,Jonathan Lethem
- 出版社/メーカー: Farrar Straus & Giroux
- 発売日: 2004/08/01
- メディア: ペーパーバック
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…マラマッドといえば、昔は角川文庫だったか、街の本屋でもよく本を見かけたものだが、今ではさっぱりで、ユダヤ系の中ではシンガー以上に忘れられた作家の一人だろう。しかも、おそらく英文科の学生でも手に取るのはせいぜい『修理屋』か短編集くらいで、この『新しい生活』となると、ほとんど見向きもされないのではないか。
しかしながら、これは若い世代が読んでもかなり面白い作品だと思う。マッカーシズムと聞いても、たぶん「え、何それ?」だろうが、ここではそんな政治の次元を超え、古くて新しい恋愛心理の機微が実にみずみずしいタッチで描かれている。逆に言えば、もし本書が政治的主張に終始していれば、とうの昔に本当に埋もれてしまっているはずだ。政治は時代が変われば古びるが、恋の悩みはいつの世も変わらない。
だが、世間的には事実上、本書は「埋もれてしまっている」。何かの偶然で話題にならない限り、翻訳が復刊されることはまずないだろう。マラマッドの処女長編『ナチュラル』を撮ったバリー・レヴィンソン監督に、ぜひ本書も映画化してもらいたい…と最近、『わが心のボルチモア』をDVDで観て思ったものだ。
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