ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Jeanette Winterson の "Lighthousekeeping"

 読みだした本はあるのだが、夏バテのせいか今ひとつノリが悪い。そこで今日は、久しぶりに昔のレビューでお茶を濁しておこう。たしか3年前、「愛は灯台の灯のごとく」と題してアマゾンに投稿、その後削除したものだ。

Lighthousekeeping

Lighthousekeeping

[☆☆☆★★] 闇夜を照らす灯台の灯は光っては消え、消えては光る。その光を浴びて一瞬浮かびあがる愛の光景…そんなイメージを頭に描きながら、ジャネット・ウィンターソンは本書を執筆したのではないだろうか。前半は比較的同じ景色だ。スコットランド灯台守が身寄りのない娘を引きとり、灯台と海辺の町にまつわる昔の恋物語を語り聞かせる。愛する女と結婚せず、なぜか牧師となった男。それは単なる劇中劇にとどまらず、こちらのほうがむしろ本編と言えるほどだ。が、やがて灯台守が舞台から退場すると、前半の恋物語も直線的な進行をやめ、娘自身の恋愛その他、さまざまな愛の風景が映しだされる。もちろんそこには前半の種明かしという一貫した流れはあるのだが、散文詩に近い断片的な場面が連続するため、一気に読み進まないと解読しにくいだろう。さすがは才女ウィンターソン、普通に書けば単純な話になるところを、詩的表現と複雑な語りの構造で読みごたえのある作品に仕上げているのだが、その工夫が物語の展開に災いしていることも否定できない。英語は鋭い知性を感じさせる文章で、特に、単語のもつ二重の意味を利用した表現が巧妙。