ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧

"Winnie and Wolf" 雑感(6)

「パルジファル」が最終章かと思ったら、あとひとつ、「トリスタンとイゾルデ」の章が残っていた。余談だが、遅ればせながら、それぞれクナッパーツブッシュとフルトヴェングラーの名盤を注文。「指環」はとても無理だが、時間的にこのふたつの楽劇なら聴け…

"Winnie and Wolf" 雑感(5)

昨日からまだいくらも読み進んでいないが続きを補足。「ヒトラーの人物像…についてもかなり常識的な解釈だ」と書いたが、これは本書のフィクション部分にも当てはまる。ジークフリートに雇われた秘書の目を通してワーグナー一家とヒトラーの交流が描かれ、ヒ…

"Winnie and Wolf" 雑感(4)

今週も風邪で絶不調。医者に処方してもらった薬を服みだしたのだが、効き目が切れたとたん頭が痛くなる。おかげで本を読むペースも相変わらずカタツムリ君だ。が、ピッチが上がらないのは体調のせいばかりではなく、正直言ってこの "Winnie and Wolf"、ぼく…

"Winnie and Wolf" 雑感(3)

相変わらず風邪で絶不調。大連休で困ったのは医者の休診で、売薬は眠くなるだけであまり効果がなく、もう一週間もボーっとしている。おかげで本書はまだ半分しか読んでいない。まるでカタツムリ君だ。 ここに来てやっと気がついたのだが、前半はどうやら歴史…

"Winnie and Wolf" 雑感(2)

せっかくの大連休なのに風邪を引いてしまい、ボケ×3状態。クスリのせいか活字を読んでいるとすぐ眠くなる。おかげでこの "Winnie and Wolf" も途中で放りだしていたが、今日になって改めて読みだした。 体調のせいもあるのだろうが、これは相変わらずシンド…

"Winnie and Wolf" 雑感(1)

こんどのシルバーウィークにゆっくり骨休めできるようにと、今週は家でも仕事に励んでいる。そこで通勤電車の中で2007年のブッカー賞候補作、A. N. Wilson の "Winnie and Wolf" にボチボチ取りかかった。これは今のところ、ちとシンドイ小説だ。なにしろ、…

Travis Holland の "The Archivist's Story"(3)

本書を読んで『悪霊』や『1984年』のような過去の名作を思い出すのは自然の成り行きだが、あとひとつ考えたのは、先週も採りあげた純文学と大衆小説の違いという問題である。あのときは Louise Douglas の "The Love of My Life" をきっかけに、恋愛小説、そ…

Travis Holland の "The Archivist's Story"(2)

幕切れが少し気になったので Travis Holland のことをネットで調べてみたら、この作家はもともと短編を書いていた人で、本書はどうやら処女長編ということらしい。それで納得。ネタを明かすわけには行かないが、これはまさに短編小説の終わり方である。 途中…

Travis Holland の "The Archivist's Story"(1)

今年の国際IMPACダブリン文学賞の最終候補作、Travis Holland の "The Archivist's Story" をやっと読みおえた。例によってまずレビューを書いておこう。The Archivist's Story: A Novel作者: Travis Holland出版社/メーカー: Dial Press Trade Paperback発…

"The Archivist's Story" 雑感(2)

おとといの続きになるが、"Love and Summer" も "Not Untrue and Not Unkind" もメロドラマとして相当にがんばっていると思う。前者は「清純な不倫」を描きながら「周囲の人物もふくめた心の葛藤劇となっている点がすばらしい」し、後者は「即物的とも言える…

"The Archivist's Story" 雑感(1)

積ん読の山をまた少しでも切り崩そうと、Travis Holland の "The Archivist's Story" に取りかかった。かなり前、あちらのリストマニアか何かで見かけて買った本だが、今年になって国際IMPACダブリン文学賞の候補作に選ばれ、ああやっぱり読まなくちゃと思っ…

Louise Douglas の "The Love of My Life"(2)

ぼくはおとといの雑感でこう書いた。「少なくとも現代文学において、大衆小説と純文学の違いは何なのか。今やナンセンスな問題かもしれないが、この "The Love of My Life" を読みながらボチボチ考えてみたい」。 が、じつはこの問題については、すでに7月1…

Louise Douglas の "The Love of My Life"(1)

ブッカー賞のショートリストが発表されたがhttp://www.themanbookerprize.com/news/stories/1275、ロングリストの中から読んでみた2冊はいずれも落選。残った候補作はどうやらハードカバーでしか入手できそうにないので、今年も残念ながら高みの見物としゃ…

"The Love of My Life" 雑感

Louise Douglas の "The Love of My Life" に取りかかった。たしか今年の2月ごろ、アマゾンUKのベストセラー・リストに何週か載っていた作品で、今検索すると578位で星4つ半。なかなか健闘している。文学ミーハー趣味丸出しで、タイトルとロマンティックな…

Ed O'Loughlin の "Not Untrue and Not Unkind"(2)

今年のブッカー賞候補作を読むのは、William Trevor の "Love and Summer" に続いて本書で2冊目だが、ううむ…これがショートリストに残る確率は "Love and Summer" 以上に低いのではないか。この2作に関しては、William Hill がつけたオッズはどうも当たっ…

Ed O'Loughlin の "Not Untrue and Not Unkind"(1)

今年のブッカー賞候補作の一つ、Ed O'Loughlin の "Not Untrue and Not Unkind" をやっと読みおえた。さっそくレビューを書いておこう。Not Untrue And Not Unkind作者: Ed Oloughlin出版社/メーカー: Penguin Ireland発売日: 2009/04/28メディア: ペーパー…

"Not Untrue and Not Unkind" 雑感

William Trevor の "Love and Summer" に続いて、同じく今年のブッカー賞候補作、Ed O'Loughlin の "Not Untrue and Not Unkind" に取りかかった。Willliam Hill がつけたオッズは14/1。「泡沫候補」のひとつのようだが、例年、ロングリストの下位から受賞作…