ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

“In a Strange Room”雑感(2)

今日は第2部を読んでみた。相変わらず快調で、読めば読むほどますます気に入っている。個人的な趣味だけで言えば Tom McCarthy の "C" より好きな作品だ。が、小粒なのでいちおう対抗馬にしておこう。それゆえ、もしこれが栄冠に輝くようなら番狂わせと言え…

“In a Strange Room”雑感(1)

今年のブッカー賞最終候補作のうち、William Hill のオッズによると3番人気の Damon Galgut 作、"In a Strange Room" にようやく取りかかった。ようやく、というのは、7月末に日本のアマゾンに注文していたペイパーバック版がなぜかいっこうに届かず、しび…

Howard Jacobson の “The Finkler Question”(2)

昨日、本書のレビューらしきものを書くとき、はたと困ってしまった。美点がほとんど見当たらなかったからだ。小説にかぎらず出版物を商業ベースに乗せることがいかに大変な作業であるか多少は心得ているので、ぼくは基本的にレビューではホメホメおじさんに…

Howard Jacobson の “The Finkler Question”(1)

予定よりずいぶん遅れてしまったが、今年のブッカー賞最終候補作のひとつ、Howard Jacobson の "The Finkler Question" をやっと読みおえた。例によってさっそくレビューを書いておこう。The Finkler Question作者:Jacobson, HowardBloomsbury Publishing PL…

“The Finkler Question”雑感(2)

予定では昨日読みおえるはずだったが、さっぱりペースが上がらず途中であきらめ、あと1日はかかりそうだ。おととい飲み過ぎたのも一因だが、正直言って本書はかなり退屈です。その後、「何だかどうでもいいような話」ではなくなったのはいいけれど、これ、…

“The Finkler Question”雑感(1)

7月末に注文した Damon Galgut の "In a Strange Room" がまだ届かない。仕方なく、今年のブッカー賞最終候補作でいちばん人気薄らしい Howard Jacobson の "The Finkler Question" に取りかかった。 第一印象を述べると、あまり期待していなかったせいか意…

Emma Donoghue の “Room”(2)

表紙を見ると、「一気に読むべき本」との Audrey Niffenegger の評言が…なるほど、うまいことを言いますなあ。ひるがえって、最初の3分の1をダラダラ読み、残りを一気呵成に読んだぼくは何て言えばいいんだろう。 前半は間違いなく面白い。ところが、後半…

Emma Donoghue の “Room”(1)

昨日は結局、小人閑居して不善を為すで、終日ダラダラ過ごしてしまった。明けて今日は今年のブッカー賞最終候補作のひとつ、Emma Donoghue の "Room" に取り組み、何とか残り3分の2を読了。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。Room作者: Emma …

“Room”雑感(2)

昨日はやっぱりバテバテで、思ったほど読めなかった。今日もお疲れモードだが明日から3連休。景気づけに一杯やる前に雑感の続きを書いておこう。 これは今のところタイトルどおり、ある家というか小屋の部屋の中だけで起きる出来事を描いた正真正銘の室内劇…

“Room”雑感(1)

今週も多忙を極め、昨日など残業疲れでとても本を読む気になれず、チャイコンを聴いただけで寝てしまった。なぜチャイコンかというと、先月、田舎に帰る途中に観た映画「オーケストラ」がいまだに脳裏に焼きついているからで、あのクライマックス・シーンは…

Tom McCarthy の “C”(2)

昨日は本書の残り半分近くを珍しく「ちゃんと机に向かって読」み、そのあと無い知恵を絞ってレビューらしきものを書いたのだが、今読みかえしてみると、やっぱり「とんでもない勘違いのような気もする」。どこかの英文科の先生が目にしたら、これだから素人…

Tom McCarthy の “C”(1)

今年のブッカー賞最終候補作の中で、今のところ1番人気らしい Tom McCarthy の "C" をやっと読みおえた。さっそく例によってレビューを書いておこう。C作者: Tom McCarthy出版社/メーカー: Jonathan Cape Ltd発売日: 2010/08/05メディア: ハードカバー クリ…

“C”雑感

今日はまず、ブッカー賞のショートリストについての感想の続きから述べよう。ぼくは David Mitchell が落選して Peter Carey が残るとはひどいなあと思ったので、あちらの記事をいくつか拾い読みしたところ、Peter Carey には受賞して欲しくない、と書いてあ…

2010年ブッカー賞ショートリスト発表(Man Booker Prize 2010 shortlist)

今年はロングリストの段階で珍しく6冊も候補作を読んでいたので、例年以上にショートリストに残った作品が気になり、今しがた調べてみた。すると、ぼくが勝手に大本命に推していた David Mitchell はあえなく落選。逆に、ぼくにしては珍しく酷評した Peter …

Peter Carey の “Parrot and Olivier in America”(2)

仕事の合間に本書の後半をボチボチ読みながら、ぼくが歴史小説に期待するものは何だろうと考えてみた。以下、いささか図式的だが、思いつくままに挙げてみると、 1.知られざる事実もしくは人物に光をあてたものを読み、なるほどそういうこともあったのか、…

Peter Carey の “Parrot and Olivier in America”(1)

たまっていた仕事を休日返上で片づけたあと、今年のブッカー賞候補作、Peter Carey の "Parrot and Olivier in America" をやっと読みおえた。さっそくレビューを書いておこう。Parrot and Olivier in America作者:Carey, Peter発売日: 2010/08/05メディア: …

“Parrot and Olivier in America”雑感(3)

帰省中にサボっていた仕事に追われ、なかなか思うように進まないが、それでも何とか後半に突入。わりとクイクイ読める本だ。 といっても、無我夢中で読みふけっているわけではない。舞台がアメリカに変わり、いよいよ本筋が始まったというのに、前回同様、「…