ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

"Look at Me" 雑感(2)

このところ、朝起きると喉が痛い、鼻水が出る。ヤバイ、ひょっとしてインフルかも。そのうち夢でも見ているように一日が終わり、よかった、ふつうの風邪だった、とひと安心。 というわけで、いま読んでいる本、どれもさっぱり進まない。寝床の中の『吉祥天女…

"Look at Me" 雑感(1)

つい先ほどまで一杯やっていた。だからきょうはお休みしたかったのだけれど、カウンターを見ると、こんな泡沫ブログでも、どなたか奇特な方が読んでくださっていることがわかる。だから何か書きます。 水曜日、獺祭の発泡にごり酒を飲みながら見ていた映画は…

Anita Brookner の "The Next Big Thing"

ゆうべブログを更新するはずだったが、晩酌に獺祭の発泡にごり酒を飲んであえなくダウン。見ていた映画の粗筋もろくに憶えていない。 苦手とわかっているのに日本酒をトライしたのは、たまたま見た紀行番組で、ぼくと同い年くらいのジッチャンたちが、金沢の…

Yuri Hererra の “Signs Preceding the End of the World”(3)

いつもなら火曜日は飲まないのだが、きょうはあるパーティーに出席。帰宅してこれを書いている。だから仕事はしていないのにBGMは中島みゆき。みゆきの歌は、いろいろなことを思い出させ、いろいろなことを忘れさせてくれる。 パーティー会場で一杯やってい…

Yuri Hererra の “Signs Preceding the End of the World”(2)

おとといも書いたように、これは「最後、え、と驚いた。まだ先が続くものと思ってページをめくったら、なんとそのページでおしまいだった」からだ。 ネタを割っても大過ないと思うので、一部だけ引用しておこう。.... she saw a tall, thin man draped in a …

Yuri Hererra の “Signs Preceding the End of the World”(1)

きのう、メキシコの作家、Yuri Hererra の "Signs Preceding the End of the World"(2009)を英訳版で読了。2016年の Best Translated Book Award(最優秀翻訳作品賞)受賞作である。Signs Preceding the End of the World作者:Herrera, YuriAnd Other Stor…

"Signs Preceding the End of the World" 雑感 (2)

本書を読んでいるうちにふと、月曜日に書いた "The Go-Between" のレビューにぜひ、こう加筆しなければならないことに気がついた。加筆前「子供は必ずしも善良ではなく、うぶな心にもプライドや自己顕示欲がひそんでいる」。加筆後「子供は必ずしも善良では…

"Signs Preceding the End of the World" 雑感 (1)

ゆうべ、風呂あがりに桜木紫乃の『氷平線』を読了。やっぱり表題作がいちばん出来がいい。「experience の世界が中心だが、その中に一本、innocence の芯がしっかり通っている」と前に書いたとおりだ。 何でもかんでも innocence と experience の対比だけで…

L. P. Hartley の "The Go-Between" (4)

ぼくの数え間違いでなければ、本書のレビューは(本ブログ未掲載のものもふくめて) 501本目。「青春」というキーワードで駄文の山を検索してみると、何冊か文学史にのこる青春小説が出てきた。 Tolstoy の "Childhood, Boyhood, Youth"(1830)、Dostoyevsk…

L. P. Hartley の "The Go-Between" (3)

タイトルの意味は途中でわかった。それがレビューに書いた〈手紙の配達人〉。少しだけネタを割ると、〈秘密の手紙の配達人〉。と補足しただけで、ははあ、あの話ですね、とおおかた想像がつくことだろう。 今でこそケータイ、スマホ、ラインなど便利な道具の…

L. P. Hartley の "The Go-Between" (2)

どんな本でも読むのにちょうどいい年齢や時期、タイミングがある。この "The Go-Between"、ぼくは主人公の Leo 少年と同じ12歳の夏休みにぜひ読みたかった! きのうレビューを書きおえたあと裏表紙を見たら、Ian McEwan のこんなコメントが載っていた。I fir…

L. P. Hartley の "The Go-Between" (1)

ゆうべ、L. P. Hartley の "The Go-Between" を読了。Hartley は、創元推理文庫『怪奇小説傑作集2』の第1話「ポドロ島」の作者である。さて、ひと晩寝かせたところで、どんなレビューになるでしょうか。 追記:その後、映画化されていることを発見しました…

"The Go-Between" 雑感 (4)

本書は雑感(1)でも紹介したとおり、ガーディアン紙によれば、"A masterpiece of innocence lost" とのこと。今のところ、この寸評はどうも当たっているようだ。 最後にどんな事件が待ち受けているか、まだ正確にはわからない。いくつか布石、暗示らしきも…

"The Go-Between" 雑感 (3)

寝る前に10分間だけ、キッチンで桜木紫乃の『氷平線』を読んでいる。いちおう日本文学の catch up のつもり。座って読んだほうが、やっぱり先へ進みますね。experience の世界が中心だが、その中に一本、innocence の芯がしっかり通っているようだ。 寝床の…

"The Go-Between" 雑感 (2)

この連休、午前中は「管弦楽組曲」をいろいろな盤で聴きながら〈自宅残業〉。ほんとは中島みゆきがいいのだけれど、今年はしばらくクラシックで行こう。ちなみに中島みゆき、「Singles」はBGM向きではない。「やっと恨みも嘘もうすれた頃 忘れられない歌がも…

"The Go-Between" 雑感 (1)

今年は昼間も、というか寝床以外でも日本文学の catch up を、と決心。年末に引き続き、宮下奈津の『遠くの声に耳を澄ませて』を読んでいる。一日一話。まだ終わらない。それどころか目次をながめても、これ、どんな話だっけ、と首をかしげることが多い。こ…

Tove Jansson の “The True Deceiver” (3)

雑感にも書いたように、最初はこれ、映画『太陽がいっぱい』や『マッチポイント』のようなクライム・ストーリーかと思っていた。貧乏な若者が資産家に近づき、財産をねらったり立身出世をもくろんだりして犯罪をおかす。 実際、ヒロインの Katri は老婦人 An…

Tove Jansson の “The True Deceiver” (2)

きょうは家で仕事始め。しかしまだ、おトソ気分が抜けない。正月休み、酔いのさめた夕方に見た映画が頭にちらついている。『るろうに剣心』、『荒野の決闘』、『赤ひげ』の3本だ。 「るろ剣」で印象にのこったのは、「憎しみの連鎖は断ち切らねば」(佐藤健…

Tove Jansson の “The True Deceiver” (1)

年明けて二日間は昼間からアルコール漬け……というほどでもないが、「そこでストップ!」とみんなに言われるまで飲んでいた。今年もやっぱりダメですね。 おかげで本書は先ほど読了。ムーミン・シリーズで名高い Tove Jansson が大人向けに書いた小説(1982)…