ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2021-01-01から1年間の記事一覧

Jonathan Franzen の “The Corrections”(2)

ついに風邪をひいてしまった! たぶんコロナではなく(そう思いたい)、どうも孫からもらったものらしい。孫のほうはもうケロっとしているのだけど、ぼくはまだ頭が痛い。血圧のせいかもしれない。 おかげで、"Middlesex" は足踏み状態。しかも振り返ってみ…

Michael Chabon の “The Amazing Adventures of Kavalier & Clay”(2)

Jeffrey Eugenides の "Middlesex"(2002)をボチボチ読んでいる。ご存じ2003年のピューリツァー賞受賞作だ。孫の世話(けっこう疲れる)その他、なにかと雑用が入り思うように進まないが、なかなか面白い。 同書も2001年に同賞を受賞した表題作(2000)も、…

Jonathan Franzen の “The Corrections”(1)

2001年の全米図書賞受賞作、Jonathan Franzen の "The Corrections" を読了。本書はまた2002年のピューリツァー賞最終候補作でもある。さっそくレビューを書いておこう。 The Corrections (English Edition) 作者:Franzen, Jonathan 発売日: 2010/09/21 メデ…

Halldór Laxness の “Independent People”(2)

Halldór Laxness というアイルランドの作家がいることを知ったのは、過去記事を検索すると2009年の5月。その当時、米アマゾンのベストセラー・リストになぜか本書がちょくちょく顔を出していたようだ。 ベストセラーなんて、いまでこそ久しくチェックしたこ…

Michael Chabon の “The Amazing Adventures of Kavalier & Clay”(1)

数日前、Michael Chabon の "The Amazing Adventures of Kavalier & Clay"(2000)を読みおえたのだが、体調その他、諸般の事情でブログを更新する時間がなかなか取れなかった。ご存じ2001年のピューリツァー賞受賞作である。はて、どんなレビューになります…

Marguerite Yourcenar の “Memoirs of Hadrian”(2)

"To the Lighthouse" のつぎに表題作を読もうと思ったのも、きっかけはほんの偶然だった。洋書は著者のアルファベット順に書棚に並べているので、Woolf, Virginia のすぐ隣りが Yourcenar, Marguerite だからだ。"Oriental Tales"(1938)も気になったけど、…

Halldór Laxness の “Independent People”(1)

きのう、アイスランドのノーベル賞作家、Halldór Laxness の "Independent People" を読了。アイスランド語原書の第一部は1934年刊、第二部は1935年刊。英訳合冊版は1946年刊で、Laxness は1955年にノーベル賞を受賞。さっそくレビューを書いておこう。 Inde…

Virginia Woolf の “To the Lighthouse”(2)

Virginia Woolf のことはすっかり忘れていた。書棚に何冊か作品が飾ってあるだけで、いままで手に取ったこともほとんどなかった。 それどころか、ぼくのまわりで Woolf が話題にのぼることは、学生時代からいちどもなかったような気がする。先生方、先輩、友…

Marguerite Yourcenar の “Memoirs of Hadrian”(1)

きのう、Marguerite Yourcenar の "Memoirs of Hadrian"(1951)を読了。仏語からの英訳版である。さっそくレビューを書いておこう。 Modern Classics Memoirs of Hadrian (Penguin Modern Classics) 作者:Yourcenar, Marguerite 発売日: 2001/02/06 メディ…

George Orwell の “Homage to Catalonia”(3)

前回(2)では、Orwell の現代性のうち些末な問題だけ採りあげた。マスコミの意図的な情報操作など、Orwell がスペイン内戦で目のあたりにした現象が、80年以上たった今日の東洋の島国でも認められるというもので、これを紹介した理由は、あまりに些末で指…

Virginia Woolf の “To the Lighthouse”(1)

Virginia Woolf の "To the Lighthouse"(1927)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Modern Classics To the Lighthouse (Penguin Modern Classics) 作者:Woolf, Virginia 発売日: 2000/10/31 メディア: ペーパーバック [☆☆☆☆★] 灯台の光は、姿は時々…

George Orwell の “Homage to Catalonia”(2)

レビューでまとめきれなかったことは山ほどある。あまりに多すぎて、それをひとつひとつ拾っていくと、いつまで続くか知れたものではない。 そこで思い切って、Orwell の現代性という点についてのみ補足することにした。それも今回は些末な問題だけ。 たとえ…

George Orwell の “Homage to Catalonia”(1)

きのう、George Orwell の "Homage to Catalonia"(1938)を読了。使用した text は Penguin Books 版(1977年刊)で、続編 "Looking Back on Spanish War"(1943)もふくまれる。さっそくレビューを書いておこう。 Homage to Catalonia (Penguin Modern Cla…

"Homage to Catalonia" 雑感

ぼくは洋書を読むとき、いつもメモをとることにしている。いわゆる5W1Hを基本に、そのほか気のついたことはなんでも書き留める。そうしないとすぐに忘れてしまうからだ。 メモ用紙はB5の裏紙(表は宮仕え時代に使用)を4つ折りにしたもの。これに3色のボー…

Joseph Boyden の “The Orenda”(2)

さる12月、2018年のギラー賞最終候補作で、ファン投票では1位だった Eric Dupont の "Songs for the Cold of Heart"(☆☆☆★★)を読んでいたら、Hannah Arendt の "The Origins of Totalitarianism" の話が出てきた。ああ、そういえばこの名著も未読だったな…

Joseph Boyden の “The Orenda”(1)

ゆうべ、2013年のギラー賞一次候補作、Joseph Boyden の "The Orenda" を読了。Shadow Giller Prize という現地カナダのファン投票では1位を獲得した作品である。さっそくレビューを書いておこう。 The Orenda 作者:Boyden, Joseph 発売日: 2014/04/03 メデ…

"The Orenda" 雑感

寝床のなかで読んでいる『蜜蜂と遠雷』はあと少し。世評どおりとても面白い。相変わらず恩田陸の筆力、表現力に圧倒されている。が、ちょっと引っかかる箇所があった。 まず、「ファンタジック」という言葉(文庫版・上 p.377)。これが fantastic の誤用で…

Charles Yu の “Interior Chinatown”(2)

きょうは仕事始め、ならぬ読書始め。ほんとうはぜひ、若いころ途中まで読んだ George Orwell の "Homage to Catalonia" を、と思っていたのだけど、年末にちょっとかじった Joseph Boyden の "The Orenda"(2013)が気になり、ボチボチまた読みはじめたとこ…