ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

ノーベル文学賞

"The Conservationist" 雑感

Nadine Gordimer の "The Conservationist"(1974)を読んでいる。Gordimer は周知のとおり南アフリカの作家で、1991年にノーベル文学賞を受賞。本書は74年のブッカー賞受賞作である。 恥ずかしながら、それくらいのことしか Gordimer については知らなかっ…

Patrick Modiano の “Paris Nocturne”(1)

2014年にノーベル文学賞を受賞したフランスの作家、Patrick Modiano の "Paris Nocturne" (2003) を読了。さっそくレビューを書いておこう。Paris Nocturne: A Novel (The Margellos World Republic of Letters)作者:Modiano, PatrickYale University PressA…

J. M. Coetzee の “The Schooldays of Jesus” (1)

今年のブッカー賞候補作、J. M. Coetzee の "The Schooldays of Jesus" を読了。さっそくレビューを書いておこう。The Schooldays of Jesus作者:Coetzee, J.M.Harvill SeckerAmazon[☆☆☆★★] 前作『イエスの幼子時代』から一歩前進。が、イエスの少年時代をモ…

Thomas Mann の “Death in Venice”

Thomas Mann の短編は高校生のとき、途中で挫折したり、最後まで読んでも読んだ気がしなかったり。以来、長らく宿題となってしまったが、昨年末、Vintage 版で悪戦苦闘しながら読了。それからさらに雑感を書きつづけ、今日やっと、以下のレビューらしきもの…

Hermann Hesse の “Klingsor's Last Summer”

実際に読んだのは去る8月だが、その後、メモを頼りに拾い読みした結果、なんとかレビューらしきものが書けそうな気がしてきた。がんばれや!(郷里の宇和島弁) ※ぼくが読んだペイパーバック版は表紙をアップできなかったので、別の版のものを掲示した。た…

Alice Munro の “Dance of the Happy Shades” (1)

先週は1日1話のスローペースで新ノーベル賞作家、Alice Munro の処女短編集 "Dance of the Happy Shades" を読んでいたが、連休最終日のきのう、久しぶりにまとまった時間が取れ、めでたく読みおえることができた。さっそくレビューを書いておこう。Dance …

2013年ノーベル文学賞

ビッグニュースが飛びこんできた! なんと Alice Munro がノーベル文学賞受賞! ぼくはたまたま、彼女の第1短編集 "Dance of the Happy Shades" (1968) を読んでいる最中だけに、つい先ほどネットでニュースを知ったとたん、思わず「えっ」と叫んでしまった…

J. M. Coetzee の “The Childhood of Jesus” (1)

ノーベル賞作家 J. M. Coetzee の最新作、"The Childhood of Jesus" を読了。さっそくレビューを書いておこう。The Childhood of Jesus作者:Coetzee, J. M.Harvill SeckerAmazon[☆☆☆★★] 哲学とは「ひとを揺さぶり、ひとの人生を変えるようなもの」であるのが…

Alice Munro の “Lives of Girls and Women” (1)

Alice Munro の初期作品で唯一の長編小説、"Lives of Girls and Women" (1971) を読了。さっそくレビューを書いておこう。Lives of Girls and Women: A Novel (Vintage International)作者:Munro, AliceVintageAmazon[☆☆☆☆] 1940年代、オンタリオ州の田舎町…

Alice Munro の “Dear Life” (1)

Alice Munro の最新短編集 "Dear Life" を読了。ガーディアン紙、パブリシャーズ・ウィークリー誌、アマゾン・カナダでそれぞれ去年のベスト作品に選ばれたものである。さっそくレビューを書いておこう。Dear Life: Stories作者:Munro, AliceKnopfAmazon[☆☆☆…

Isabel Wolff の “A Vintage Affair” (1)

Isabel Wolff の "A Vintage Affair" を読了。さっそくレビューを書いておこう。A Vintage Affair作者:Wolff, IsabelHarperCollinsAmazon[☆☆☆☆] 読みはじめたときから、そしてなかんずく読後、いっとき幸せな気分にひたれ、人生がちょっぴり楽しく思える「元…

Toni Morrison の “Home” (1)

ノーベル賞作家トニ・モリスンの最新作、"Home" を読了。さっそくレビューを書いておこう。Home: A novel作者:Morrison, ToniKnopfAmazon[☆☆☆★] 巨匠がたしかな計算のもと、さらりと書いたノヴェラ。舞台はジョージア州の田舎町で、固い愛情で結ばれた黒人の…

Toni Morrison の "A Mercy"(1)

ニューヨーク・タイムズ紙が選んだ一昨年の最優秀作品のひとつ、Toni Morrison の "A Mercy" をやっと読みおえた。さっそく、いつものようにレビューを書いておこう。A Mercy作者: Toni Morrison出版社/メーカー: Vintage発売日: 2009/06/04メディア: マスマ…

Herta Muller の "The Land of Green Plums"(1)

諸般の事情で予定より大幅に遅れてしまったが、今年のノーベル文学賞受賞作家、Herta Muller の代表作のひとつ、"The Land of Green Plums" を何とか読みおえた。今まで2回の雑感のまとめになりそうだが、さっそくまず、いつものようにレビューを書いておこ…

J.M. Coetzee の "Summertime"(1)

今年のブッカー賞最終候補作の一つ、J.M. Coetzee の "Summertime" をやっと読みおえた。おとといの雑感と似たり寄ったりになりそうだが、さっそくレビューを書いておこう。Summertime作者:Coetzee, J.M.発売日: 2009/09/14メディア: ハードカバー[☆☆☆★] 作…

Elfriede Jelinek の "Women as Lovers"

『ピアニスト』に続いて、3年前の2月ごろだったか、ぼくとしては洋書のレビュー第2弾を書き、アマゾンに投稿(その後削除)したのが、同じくイェリネクの "Women as Lovers" についてだった。Women As Lovers (Masks)作者: Elfriede Jelinek,Martin Chalm…

Elfriede Jelinek の "The Piano Teacher"

もっか多忙をきわめているので、例によって昔のレビューでごまかそう。ご存じ04年のノーベル賞作家、イェリネクの『ピアニスト』だ。The Piano Teacher (Serpent's Tail Classics)作者: Elfriede Jelinek,Joachim Neugroschel出版社/メーカー: Serpents Tail…

Thomas Mann の “Confessions of Felix Krull, Confidence Man”(1)

Thomas Mann の "Confessions of Felix Krull, Confidence Man" を読了。予想以上に時間がかかってしまった。元来のボケと夏バテ、夏風邪のせいだろう。(追記:以下のレビューは読みが甘く、いつか再読したいと思っています)Confessions of Felix Krull, C…

William Faulkner の “Intruder in the Dust”(2)

今日から D. H. Lawrence の "Aaron's Rod" を読みだしたらすっかりハマってしまい、もはや頭はロレンス・モード。しかし忘れないうちに、フォークナーの感想の続きを書いておこう。 テーマに関しては昨日書いたとおりだが、"Intruder in the Dust" の面白さ…

William Faulkner の “Intruder in the Dust”(1)

William Faulkner の "Intruder in the Dust" をやっと読了。これほどの難物は久しぶりだった。 追記:本書は1949年に映画化されましたが、日本では未公開のようです。Intruder in the Dust (Vintage International)作者:Faulkner, WilliamVintageAmazon[☆☆☆…

William Faulkner の “The Wild Palms”

3年ぶりにフォークナーを読みはじめたところだが、学力不足の上にボケ気味のため、なかなか進まない。まったく歳は取りたくないもんだ、と実感している。そこで今日は、3年前に読んだフォークナーの『野性の棕櫚』のレビュー(アマゾンに投稿して削除した…

Isaac Bashevis Singer の "Enemies: A Love Story"

この土日は内職に追われ、きょうも先ほどまで原稿に目を通していた。例によって昔のレビューでお茶を濁すしかない。Enemies, A Love Story作者:Singer, IsaacFarrar, Straus and GirouxAmazon[☆☆☆☆] ホロコーストの問題を採りあげた小説というと、読む前から…

Gabriel Garcia Marquez の "Love in the Time of Cholera"

前回、Lisa See の "Peony in Love" の感想を書いているうちに思い出したのが、ガルシア・マルケスの『コレラの時代の愛』である。Love in the Time of Cholera作者: Gabriel Garcia Marquez出版社/メーカー: Penguin発売日: 2007/08/02メディア: ペーパーバ…

Günter Grass の "Crabwalk"

帰省中は親の見舞いや家事手伝い、旧友との再会、ドライブなど、けっこうやることが多かったが、それでも三日に一冊のペースで本を読んでいた。「文学の冬」の続きで、ドイツ文学からはギュンター・グラスを選んでみた。Crabwalk作者:Grass, GuenterFaber & …

Thomas Mann の "Doctor Faustus"

相変わらず「自宅残業」の毎日なので、今日も昔のレビューをだしに日記を書くことにした。Doctor Faustus: The Life of the German Composer Adrian Leverkuhn as Told by a Friend (Vintage International)作者: Thomas Mann,John E. Woods出版社/メーカー:…